Didier M. Payen, et al.
Intensive Care Medicine Online First - April , 2015 Pages 1 - 10
✔ 背景
重症敗血症、敗血症性ショックの病因として呼吸器感染症と腹部感染症が多い。特に腹部感染症による敗血症性ショックの死亡率は高い。グラム陰性桿菌のエンドトキシンが病態形成に重要であると考えられているが、エンドトキシンが全身性炎症反応を誘起する経路を遮断するいくつかの臨床試験はいずれも失敗している(ACCESS、CHESS)。PMXはエンドトキシンを吸着除去することで予後を改善する可能性が示唆されているが、観察研究に基づくものであり、近年のRCT(EUPHAS)もそのデザインに問題が指摘されている。本研究では28日死亡率をプライマリアウトカムとしてPMXの有効性を検討するものである。
✔ 方法
フランスで行われた多施設無作為化比較試験。消化管穿孔に対する緊急手術後12時間以内に敗血症性ショックに至った腹膜炎症例を対象とした。PMX群では通常の治療とともに2回のPMXを施行した。対照群では通常の治療のみを行った。プライマリアウトカムは28日死亡率、セカンダリアウトカムは90日死亡率、SOFAスコアとした。
✔ 結果
PMX群の28日死亡率は27.7%であったのに対し対照群の死亡率は19.5%であった(p=0.14、OR 1.58)。90日死亡率(33.6% vs 24%)、治療開始7日後のSOFA改善(-5 vs -5)いずれも有意差が無かった。合併症の存在、手術の完遂度、PMX試行回数などいくつかのサブグループ解析でも同様の結果であった。
✔ 結論
腹膜炎による敗血症性ショックに対するPMXは有効ではない。
有意差はないがPMX群で死亡率が高い傾向(文献より引用) |
◎ 私見
有効ではないというか、むしろ死亡率が高くなる傾向があるというか…。もともとPMXを行うことに積極的ではなかったので、自分の臨床にはあまり変化はないのだけど。
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