2015年8月28日金曜日

もともと心房細動の患者は予後が悪いか?

Pre-existing atrial fibrillation and risk of arterial thromboembolism and death following pneumonia: a population-based cohort study.
Gamst J, Christiansen CF, Rasmussen BS, Rasmussen LH, Thomsen RW.
Crit Care. 2015 PMID: 25398678


✔ 背景
 もともと心房細動の既往のある患者はICU入室後の予後が悪くなるのかどうかはよくわかっていない。
✔ 方法
 2005~2011年にデンマークでICUに入室した患者57,110人を対象として解析した。もともと心房細動のある患者(AF)とそうではない患者で血栓症や30日死亡率、365日死亡率を比較した。さらに、年齢、性別、併存心疾患、ICUにおける治療で層別化して同様の検討を加えた。
✔ 結果
 5,065人(9%)が入室時にAFであった。AF群は年齢が高く(75 vs 62)、併存疾患が多かった。心房血栓症は30日時点ではAF群の2.8%で認められ、非AF群の2.0%で認められた。365日の時点ではAF群の4.3%、非AF群の2.9%に認められた。30日目の調整相対危険度は1.14、365日時点では1.20であった。30日死亡率は27%と16%であり、調整相対危険度は1.04であった。365日死亡率は40.9%と25.4%であり、調整相対危険度は1.03であった。層別解析では、55歳未満においてAFは有意に死亡率を上昇させていた(30日死亡率 調整相対危険度1.73、365日死亡率 調整相対危険度1.34)。人工呼吸管理患者のみで検討しても、AFは予後を悪化させていた。性別や併存心疾患の有無で層別化してもAFによる予後悪化傾向はなかった。
✔ 結論
 心房細動がもともと存在している場合、血栓症のリスクが上がるが死亡率についてはそれほど影響していない。ただし、55歳未満や人工呼吸管理中の患者では予後を悪化させる可能性が示唆される

◎ 私見
 もともと心房細動だからといってそれほど恐れる必要はなさそう。しっかり予防して血栓症を防ぐ努力は一段と必要となるだろうが。比較的若いのに心房細動、というパターンは要注意。

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