2015年9月18日金曜日

急性膵炎の予後予測、輸液、疼痛管理、抗菌薬について

Outcome prediction, fluid resuscitation, pain management, and antibiotic prophylaxis in severe acute pancreatitis.
Huber W, Kemnitz V, Phillip V, Schmid RM, Faltlhauser A.
Intensive Care Med. 2015 Aug 20. PMID: 26289011


 Malledantらの報告に対するCorrespondence

 重症度を評価することについては賛成だがルーチンに手に入れることのできないバイオマーカ(47のサイトカイン)を調べる方法が臨床的に有用だとは思えない。一方、Bedside index for severity in acute pancreatitis (BISAP)は五つの所見(BUN、意識、SIRS、年齢、胸水)に基づく有用な評価であることがいくつかの試験で証明されている。さらに、痛みの生じた時間が予後予測には有用であると考える。
 最初の48時間における輸液蘇生が重要であるということについても同意する。MalledantらはSVVに基づく輸液蘇生を検討した論文にも言及しているが、重症急性膵炎では最初の48時間で人工呼吸を要することはまれなので、その有用性には疑問がある。
 したがって、経肺熱希釈法(TPTD)によって計測されるパラメータを用いる輸液が有用ではないかと考えパイロットスタディを行い、胸郭内血液量(ITBVI)がCIの予測に優れていたことを示している。この研究のデータを再検討したところ、人工呼吸管理を要し、かつ洞調律であったのは25%に過ぎなかった。TPTDに基づいた輸液管理についてのRCT(EAGLEスタディ)が進行中である。TPTDを用いた管理を行うと輸液量が多くなったが、いくつかのアウトカムについては良好な結果であったという研究がある。
 硬膜外麻酔の鎮痛効果について言及されているが、プロカインの持続静注も有用であると報告されている。感染性膵壊死については穿刺吸引後の抗菌薬投与について述べられているが、予防的抗菌薬投与についての解説が無い。多くのガイドラインでその投与を推奨していないが、良質なRCT2件のみをメタアナリシスした結果によると、発症3日以内かつ入院2日以内に予防的抗菌薬を投与した群の方が死亡率が低いという結果であった。
重症急性膵炎管理のチェックリスト
◎ 私見
 EAGLEスタディは知らなかった。急性膵炎の輸液管理にはいつも悩むので、結果が楽しみ。

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