2016年1月15日金曜日

敗血症性ショックに対する内分泌学的補充療法の副作用

The impact of endocrine supplementation on adverse events in septic shock.
Bissell BD, Erdman MJ, Smotherman C, Kraemer DF, Ferreira JA.
J Crit Care. 2015 Dec;30(6):1169-73. PMID: 26404956


✔ 背景
 カテコラミンは敗血症性ショックの治療に必要だが、不整脈などの合併症が問題になる。SSCG2012では灌流圧上昇を目的にVasopressinもしくはHydrocortisoneの使用を推奨しているが、これらの薬剤の効果を直接比較した研究はない。
✔ 方法
 後向きPropensity-matched cohort研究。2012年から2015年までの3年間にICUに入室した敗血症性ショックを対象とし、低血圧に対してノルアドレナリンに加えてVasopressinもしくはHydrocortisoneを投与した124症例を抽出して検討した。
✔ 結果
 Matched cohortにおいて、重度の副作用(新規不整脈(AfやVTなど)、高血糖(>180mg/dL)、低ナトリウム血症(<130mEq/L)、重感染)はHydrocortisone群でVasopressin群より3倍高率に認められたが有意ではなかった。Secondary outcomeでは、Vasopressin群において有意差をもって血行動態が早期に安定化して循環サポートを終了できていたが、ICU在室日数、在院日数、人工呼吸管理期間、在院日数には有意差が無かった。
✔ 結論
 副作用が少なく血行動態が安定化しやすいという点において、VasopressinはHydrocortisoneよりも優れている。
重度の副作用の頻度(Matched-cohort)(文献より引用)
◎ 私見
 Matched cohortでもベースラインでノルアドレナリン投与量に有意差があったりするし、治療的介入のタイミングなどの問題もあるので一概には言えないがVasopressinの方が使いやすいのかもしれないことを示した研究。重度の副作用をComposit outcomeで検討している点に注意が必要。有意ではないものの差を生み出しているのはHydrocortisone群の高血糖や重感染のようなので管理の仕方によってはたいして差が無くなる可能性もあるのじゃないだろうか。

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