2016年1月9日土曜日

敗血症性ショックに対する輸液制限戦略は安全

Targeted Fluid Minimization Following Initial Resuscitation in Septic Shock: A Pilot Study.
Chen C, Kollef MH.
Chest. 2015 Dec 1;148(6):1462-9. PMID: 26291900


✔ 背景
 輸液は敗血症性ショックの基本である。しかし、合併症を起こさずに患者予後を最大とする適切な輸液量についてはほとんど分かっていない。過剰輸液が予後を悪化させることは分かっており、また、動的指標を用いた輸液反応性の評価についてもいくつか報告がされている。そこで、毎日輸液反応性を評価し、反応性がなくなった場合に輸液量を最小にする輸液戦略(Targeted Fluid Minimization; TFM)が安全に行えるかどうかを検証した。
✔ 方法
 少なくとも12時間の輸液蘇生に加えて昇圧剤投与を要した敗血症性ショックの患者を対象とし、通常管理群とTFM群に無作為に割り付けた。
 TFM群では、毎日Passive leg raisingないし輸液負荷試験を行って輸液反応性があるかどうかを判定した。その結果PPV<13%、IVC distension index<18%、Stroke volume index difference>10%のうちふたつの所見が陽性となった場合に輸液反応性があると判定した。輸液反応性が無いものではTFMを開始する。TFMとして、持続注入する薬剤の濃度を上昇させる、維持輸液を行わない、キャリア輸液は最小とする、利尿薬もしくは腎代替療法による除水を積極的にすすめるという管理を行った。
✔ 結果
 82例の患者が対象となり、41例ずつ二群に割りつけられた。TFM群では3日目、5日目の水分バランスが小さくなった。在院死亡率、人工呼吸管理期間、腎代替療法施行率、昇圧剤使用日数に差が無く、安全と考えられた。
✔ 結論
 TFMは安全に行い得る。その効果を調査するための無作為化試験が必要である。

◎ 私見
 PLRに基づく輸液制限戦略が安全がどうかを検証したパイロットスタディ。
 輸液を極限まで切り詰めようという意見はほとんど出ないことが多い。水がひけなくて困る、と言いながらも抗菌薬などで結構な量の輸液量になっていたりするのをみることがあるので、こういう極端な介入もあってもいいかなと思う。

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