Donnino MW, Andersen LW, Berg KM, Chase M, Sherwin R, Smithline H, Carney E, Ngo L, Patel PV, Liu X, Cutlip D, Zimetbaum P, Cocchi MN; collaborating authors from the Beth Israel Deaconess Medical Center’s Center for Resuscitation Science Research Group.
Crit Care. 2016 Apr 3;20(1):82.PMID: 27038920
✔ 背景
心肺停止蘇生後には支持療法と体温コントロール以外には有効な治療は知られていない。副腎不全は重症患者や心肺停止蘇生後に認められることがあり、予後を悪化させる。議論のあるところであるが、敗血症性ショックで治療に反応しないショックを呈する患者ではステロイドを投与することでショックの離脱を促進し、予後を改善させる可能性がある。心肺停止蘇生後の遷延するショックに対してステロイドが有効かどうかを検証した。
✔ 方法
多施設前向き無作為化試験。18歳以上の院内・院外心肺停止蘇生後で、1時間以上血管作動薬を必要とした患者を対象とした。血管作動薬依存性の定義は、ノルアドレナリン、ドパミン、バゾプレシンを使用しているものとし、ドブタミンや他の昇圧剤は対象としなかった。Hydrocorticortisone 100㎎を8時間ごとに投与するか、プラセボを投与した。ショック離脱までの時間をプライマリアウトカムとした。また、試験薬剤投与前にCosyntropin刺激試験を行い、試験薬剤初回投与から24時間後のIL6とIL10を測定した。
✔ 結果
各群25例ずつが対象となった。ショック離脱までの時間に有意差はなかった。ショック離脱の有無、神経学的予後、生存退院率にも差がなかった。もともとのコルチゾル値が15μg/dL未満であった例(ステロイド群6人、プラセボ群3人)に限ってみたところ、ステロイド群は全例ショックから離脱したがプラセボ群は1例しか離脱しなかった。また、ステロイド群のうち3人は生存したが、プラセボ群は全例が最終的に死亡した。24時間後のIL10に差はなかったが、IL6はステロイド群で優位に低くなった。
✔ 結論
血管作動薬に依存する心肺停止蘇生後のショック例ではステロイドの投与が予後を改善するという証拠はなかった。
◎ 私見
心肺停止蘇生後症候群にステロイドは無効。副腎機能が真に低下している患者ではもしかしたら有用かもしれないが、数が少なすぎて確定的なことは何も言えない。今後、追試されることになるだろうか? 病態から考えると、全く無効というのも信じがたいのだけど…
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