Andreas Brunauer, et al
J Crit Care 2016;35:105-109
✔ 背景
重症敗血症・敗血症性ショックでは大循環のパラメータは微小循環の状態とほとんど相関しないことが知られている。末梢循環を評価する身体所見が臓器灌流と相関するかどうかを検討した
✔ 方法
単施設前向きパイロット研究。連続した30例の重症敗血症・敗血症性ショックを対象とした。毛細血管再充満時間(CRT)、斑状皮膚スコア(Mottling score; MS)、触診で評価した末梢温(Peripheral temperature; PT)を入室24、48、72時間目に評価した。同時に、ドプラエコーを用いて肝臓、脾臓、腎臓、小腸の灌流をPerfusion index(PI)で評価した。
✔ 結果
CRT、MS、PTは相互に強い相関を示した。同様に各臓器のPIも相互に強い相関を示した。CRTは小腸のPIと、MSは腎臓のPIと有意に相関したが、PTはどの臓器のPIとも相関しなかった。時間経過に伴う各末梢循環指標の推移と臓器PIの推移を比較したところ、CRTと肝臓・小腸のPIの推移が、また、MSと腎臓のPIの推移が有意に関連していたが、PTはやはりどの臓器とも関係しなかった。
✔ 結論
CRTとMSは敗血症性ショック早期の臓器PIと相関する可能性がある。
◎ 私見
パイロット研究なので結論は出せないが、身体所見で臓器の灌流状態を推測できるとするというのは興味深い。消化器の状態を知るために指を触り(CRT)、腎臓の状態を知るために脚を見る(MS)。末梢温は主観による「温かい」「冷たい」の2分類しかないので、このパイロット研究では有意差が出なかっただけの可能性もあり、今後の研究では何らかの有意義な所見となる可能性もある。ベッドサイドに行ったらまず手と足を触ることにしている(もちろん意識のある人では声もかけますが)自分としては、とても気になる研究でした。
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