2020年4月19日日曜日

頭部外傷患者に対する気管切開

Robba C, Galimberti S, Graziano F, Wiegers EJA, Lingsma HF, Iaquaniello C, Stocchetti N, Menon D, Citerio G; CENTER-TBI ICU Participants and Investigators.
Intensive Care Med. 2020

欧州65施設が参加する頭部外傷のデータベースより、気管切開のタイミングを検証。ICUでの治療を要した2138人のうち72時間以上在室した1358人を対象とした(19か国54施設)。このうち気管切開を要したのは433人(31.8%)、年齢(HR 1.04)、GCS≦8(HR 1.7)、胸部外傷(HR 1.24)、低酸素血症(HR 1.37)、対光反射消失(HR 1.76)が気管切開を予測する因子であった。国によって気管切開の頻度やタイミングには大きな差があった。入室7日以内の気管切開を早期、7日より後の気管切開を晩期としたとき、早期気管切開はより良い神経学的予後と在院期間短縮に関連していたが、因果関係は不明である

◎私見
胃管切開のリスク因子は納得できるものが並んだ。タイミングについて国ごとにみてみると、早期気管切開が多いとそのぶん晩期気管切開が少ないのかというとそういうことはなく、早期が多ければ晩期も多い、すなわち気管切開そのものが多いという点は面白かった。気管切開そのものに対する閾値がすべてを決めている感じがする。気管切開率は最も少ない国で7.9%、最も多い国では50.2%と実に6倍近い差がある。いったいどんな違いがあるのだろう。この点も興味がわいた。
当施設でも気管切開をするかしないかについてよく議論になるが、一般に遅い気がする。「一度は抜管したい」という思いにつられてしまっている例も見かける。果たしてそれが本当に良いことをしているのかという点についてはよく考えた方が良い。そういう「お試し抜管」はすべきではないときっちり主張した腹部外科の先生がおられたが、まさしくその通りだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿