2015年2月20日金曜日

PEEPはARDS患者の心拍出量に影響しない

The relationship between positive end-expiratory pressure and cardiac index in patients with acute respiratory distress syndrome.
Fares WH, Carson SS; NIH NHLBI ARDS Network.
J Crit Care. 2013 Dec;28(6):992-7. PMID: 23993772


✔ 背景
 高PEEPによる胸腔内圧上昇によって心拍出量が減少する可能性が指摘されている。
✔ 方法
 ARDS発症から48時間以内の患者を対象としたFACTT trialのデータを使用して二次解析を行った。肺動脈カテーテルを使用する群に割りつけられた症例を対象とし、PEEPと心係数を同時に計測したデータを解析対象とした。
✔ 結果
 367人の患者で計測された833のデータが解析対象となった。平均PEEPは8.2±3.4cmH2Oで、平均心係数は4.2±1.2L/min/m2であった。APACHEスコア、年齢、輸液管理の方法(Liberalか、Conservativeか)、敗血症の有無を考慮に入れてもPEEPと心係数には有意な関係が無かった。
✔ 結論
 ARDSにおいて、輸液管理の方法によらずPEEPが心拍出量を減少させることはない。

PEEPと心係数の関係(文献より引用)

◎ 私見
 PEEPの設定は主治医任せであり、そもそもそれほど高く設定されているわけではない。あくまでワンポイントのデータを集めて解析しただけであり、臨床に適用するにあたっては注意を要する。PEEPを高くすると「血圧が下がる」と言ってもとの設定に戻されてしまうことがあるが、そうとは限りませんよと答えられるかもしれない。

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