Aygencel G, Turkoglu M, Turkoz Sucak G, Benekli M.
J Crit Care. 2014 Aug;29(4):618-26. PMID: 24612762
✔ 背景
悪性腫瘍の生存率が改善すると共に悪性腫瘍を背景疾患として持つ患者がICUに入室する数も増えてきている。ICUにおける治療は無益であると言われてきたが、最近の研究では生存率の改善が報告されている。そこで、悪性腫瘍をもつICU入室患者の予後規定因子について検討した。
✔ 方法
18歳以上の組織学的に診断された悪性腫瘍患者を対象として後向きに検討した。
✔ 結果
固形がん104人(64.2%)、血液がん58人(35.8%)が対象となった。ICU入室原因で最も多かったのは敗血症(66.7%)、呼吸不全(63.6%)であった。ICU死亡率は55%で、固形がんと血液がんで有意差はなかった(57% vs 53.8%)。ICU死亡率に寄与する因子が4つであり、寛解期であること(OR 0.113)、APACHEⅡスコア高値(OR 1.12)、ICU在室中の敗血症(OR 8.94)、昇圧剤使用(OR 16.84)であった。APACHEⅡスコア、救急外来経由の入室、昇圧剤使用は血液がんでの独立した寄与因子であったが、SOFAスコア、LDH、敗血症、寛解期は固形がんでの独立した寄与因子であった。
✔ 結論
悪性腫瘍患者のICU死亡率は55%であり、これらの患者群もICU入室による恩恵を受けられうることがわかった。血液がんと固形がんでは予後に大きな差はなかった。
ICU死亡に対するオッズ比(文献より引用) |
トルコの単施設で行われた後向き観察研究。乱暴に言うと「ショックで臓器障害が多い人は予後が悪い」ということなので、結果は特に目新しいものではない。化学療法の有無や好中球減少症が寄与因子とはならなかたことが面白いくらいか。それにしても、血液検査の結果やカテーテル使用の有無など70以上の因子について網羅的に調べているのがすごい。
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