Schmidt M, Dres M, Raux M, Deslandes-Boutmy E, Kindler F, Mayaux J, Similowski T, Demoule A.
Crit Care Med. 2012 Jun;40(6):1738-44.PMID: 22610179
✔ 背景
抜管後の非侵襲的換気(NIV)が再挿管を予防する目的で行われている。急性期においては経腸栄養のための経鼻胃管の部位におけるエアリークが問題になるため、各社はリーク補正機能をもたせて同調性の改善を図ってきた。そこで、NAVAがこのりーくにまつわる非同調を改善するかどうかを調べた。
✔ 方法
単施設前向き研究。患者はPSVでNIVアルゴリズムのない群(PSV-NIV-)、PSVでNIVアルゴリズムのある群(PSV-NIV+)、NAVAでNIVアルゴリズムのない群(NAVA-NIV-)、NAVAでNIVアルゴリズムのある群(NAVA-NIV+)に無作為に割りつけられた。
抜管後、まずはPSV-NIV+に設定した。EPAP 4cmH2Oとし、IPAPは一回換気量 6-8ml/kgを達成で切るように設定した。吸気スロープは100msec、呼気トリガーはデフォルトの30%とした。FiO2はSpO2が92~96%になるように設定した。その後、NAVAに変更した。NAVAレベルはPSVの場合とおなじピーク圧となるように調節した。その後、無作為に割りつけられた換気モードに変更して10分間換気した。
・対象患者
2時間以内に抜管が予定されている、既にNAVA用の胃管が挿入されている、予防的NIVが必要と判断されている、12時間以上前に鎮静薬が中止されている、抜管後のGCSが14点以上のものを対象とした。
・この施設におけるNAVAの適応
サポート圧20cmH2Oを超えない範囲で6~8ml/kgを達成するように設定したPSVに2時間耐えられない、Ramsayスコアが4未満、FiO2が50%以下でPEEPは10cmH2O以下、循環動態が安定、48時間以上の呼吸管理が予想されていること、である。
・予防的NIVの必要性の判断
65歳以上、少なくとも2回のWeaning失敗、人工呼吸の原因が心不全、抜管後PaCO2が45mmHg以上、咳が弱い、SBT時の高炭酸ガス血症を参考にして決定した。
・非同調の判定
非同調の定義(文献より引用) |
✔ 結果
ピーク圧と横隔膜電位は4群間で特に差はなかった。PSV、NAVAどちらにおいてもNIVアルゴリズムはリークを有意に減少させた。吸気トリガーの遅れはNAVAで短い傾向があった。非同調係数はNAVAで小さかった。ただし、NAVAでダブルトリガーが多く見られる傾向があった。
✔ 結論
NIVアルゴリズムとNAVAの組み合わせが抜管後NIVにおいて最も非同調を少なくする。
各群における実測値(文献より引用) |
非同調係数(文献より引用) |
◎ 私見
抜管後のNIVは有用だが、まさしく文献中に指摘されているようにマスクと頬とのあいだにはさまれる胃管で生じるリークが問題になる。ベッドサイドから離れられなくなってしまいがち。NAVAはこの問題に対処でき得る可能性がある。この研究ではNAVAがもともと行われていた患者を対象としているため、結果の解釈には注意が必要である。つまりPSVが元々うまくいかない患者を対処としている可能性が高く、NAVAが決定的に優れているとは言えないからである。すくなくとも胃管があってもNAVAならば適切に換気補助ができそうではある。
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