2015年3月10日火曜日

肥満患者に対する超音波ガイド下経皮的気管切開

Ultrasound-guided percutaneous tracheostomy in critically ill obese patients.
Guinot PG, Zogheib E, Petiot S, Marienne JP, Guerin AM, Monet P, Zaatar R, Dupont H.
Crit Care. 2012 Dec 12;16(2):R40. PMID: 22390815


✔ 背景
 経皮的気管切開(PCT)が普及するに伴って様々な合併症が報告され、気管支鏡ガイドによる方法が編み出された。しかし、血管の走行や甲状腺についての情報は得られず、とくに合併症が多くなりがちな肥満患者において問題となる
✔ 方法
 50人の連続した患者を対象とした前向きコホート研究。PCTはCiaglia Blue Rhinoを用いて行った。超音波は12~3MHzのリニアプロ―べを用いた。実際の手技には3名を要する。まず、プロポフォールとスフェンタニルで深く鎮静し、シスアトラクリウムで筋弛緩を得た。100%酸素で従量式換気を開始した。皮膚消毒の後、まずは触診で穿刺部位を確認した。超音波はまず矢状団面を描出して輪状軟骨・気管軟骨を同定して穿刺点を確定し、次いで横断面を描出して血管と甲状腺と気管を調べ、気管までの深さを測定した。その後、頭側の医師が喉頭鏡で確認しながら気管チューブを声門近くまで引き抜いた。PCT施行者は超音波ガイドに穿刺針を予定の位置にすすめ、ガイドワイアを気管内に留置した。横切開をおき、ダイレートの後に気管切開チューブを挿入した。気管切開に要した時間や合併症の発生率を肥満患者とそれ以外とで比較した
✔ 結果
 50人の患者のうち、26人が肥満(BMI 32-38)であった。気管切開に要した時間は肥満患者と非肥満患者で有意差が無かった。また、合併症の発生率にも差が無かった。多くの合併症は重篤では無かった(低血圧、酸素飽和度低下、気管チューブのカフ穿刺、小出血)。肥満患者の2人が後に肉芽腫を生じ、非肥満患者の1人が創感染を起こした。
✔ 結論
 超音波ガイドのPCTは有用であり、特に肥満患者に対して有力な方法である。

プレスキャン(文献より引用)
◎ 私見
 PCTのときには必ず超音波でプレスキャンをするようにしているが、リアルタイムガイド下に穿刺したことはない。肥満患者や解剖学的な異常がある場合は有用と思われる。
 超音波ガイドは中心静脈カテーテル挿入、末梢静脈/動脈ライン確保、末梢神経ブロックをはじめとした穿刺手技で、もはや必須と考えられる。

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