Miguel-Montanes R, Hajage D, Messika J, Bertrand F, Gaudry S, Rafat C, Labbé V, Dufour N, Jean-Baptiste S, Bedet A, Dreyfuss D, Ricard JD.
Crit Care Med. 2015 Mar;43(3):574-83.
✔ 背景
非侵襲的陽圧換気が気管挿管中の低酸素血症を軽減するとされているが、挿管手技中の酸素化には用いることができない。High flow nasal cannula(HFNC)が気管挿管中の酸素化に有用かどうかを検討した。
✔ 方法
Before-After研究。前酸素化として非再呼吸式リザーバ付酸素マスク(NRM)を用いていた時期とHFNCを用いるようになった時期とで比較した。Primary endpointは気管挿管中の低酸素血症とした。
・気管挿管手技
鎮静薬(エトミデート)と短時間作用型の筋弛緩薬(サクシニルコリン)を使用してRapid sequence inductionを行った。最初の挿管手技はレジデントが行い、うまくいかなければ指導医が交代した。NRMを使用していた時期では15L/minで3分以上前酸素化した。挿管手技中はマスクは外したが、鼻カヌラで6L/minの酸素を投与しつづけた。HFNCを使用していた時期では100%酸素濃度、60L/minで3分以上前酸素化した。挿管中もHFNCは装着したままとした。
・対象患者
ICUにおいて気管挿管される全患者を対象とした。18歳未満、心停止に対する気管挿管、重度の低酸素血症(NRM 15L/min使用してもSpO2<95%)、既にHFNC使用中の患者、非侵襲的陽圧換気使用中の患者は除外した。
✔ 結果
101人が対象となった。気管挿管中の最低SpO2の中央値はNRM群は94%、HFNC群は100%で有意差を認めた。HFNC群では前酸素化終了時点の酸素飽和度が高く、低酸素状態に至るまでの時間も長かった。多変量解析でHFNCの使用は重度の低酸素血症を避ける独立した因子であった。
✔ 結論
HFNCを気管挿管に使用することで重度の低酸素血症を避けることができる。
挿管手技中~後の酸素化などの比較(文献より引用) |
◎ 私見
個人的に試したことがあるが、確かに低酸素になりづらい。というより、NRMがちゃんと使えていない(フィットが悪いなど)だけではないかという気もするが。RSIで挿管するなら良いが、マスク換気をしようとするとチューブがかなり邪魔になるので注意が必要ではある。また、この研究ではもともと重度の低酸素血症がある患者を対象としていない点も注意が必要である。
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