Parshuram CS, Amaral AC, Ferguson ND, Baker GR, Etchells EE, Flintoft V, Granton J, Lingard L, Kirpalani H, Mehta S, Moldofsky H, Scales DC, Stewart TE, Willan AR, Friedrich JO; Canadian Critical Care Trials Group.
CMAJ. 2015 Mar 17;187(5):321-9. PMID: 25667258
✔ 背景
研修医の勤務時間を短くすることで患者安全と医師の健康を改善することができると言われている。しかし、治療継続性が阻害されることによる有害性が疲労を減らすことによる利益を上回る可能性もある。ICUにおける3種類の勤務形態と、患者安全、研修医の健康、治療継続性について検討した。
✔ 方法
二つの大学病医院の2か月ごとにローテートしてくる研修医を無作為に夜間勤務24時間型、16時間型、12時間型の勤務体制に割り振った。
>24時間群
8時に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。カナダのICUで多い勤務形態。
>16時間群
16時30分に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。24時間群も16時間群も、夜勤明けは24時間の休暇とする
>12時間群
20時30分に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。夜勤は3~4回連続して行い、その後72時間の休暇が与えられる。
総勤務時間は群間に差が無いようにしてある(それぞれ、59.4時間/週、53.2時間/週、52.4時間/週)患者安全に関するプライマリアウトカムは有害事象とした。研修医の健康に関するプライマリアウトカムは眠気(Stanford Sleepiness Scale)とした。セカンダリアウトカムは患者死亡、避けられる有害事象、研修医の身体症状、バーンアウトとした。治療継続性ならびにICUスタッフの研修医に対する評価も調査した。
✔ 結果
47人の研修医について、971人の新入院、5894人・日の治療期間、関わった452人のスタッフを調査した。有害事象については勤務形態間(24時間、16時間、12時間)の差はなかった(81.3、76.3、78.2/1000人・日; p=0.7)。また、日中の研修医の眠気にも差が無かった。8件の避けられる有害事象のうち、7件は12時間群で認められたが有意な差はなかった。患者死亡率も群間有意差は無かった。研修医の身体的症状は24時間群で有意に多く、また重度であった(p=0.04)。しかし、バーンアウトは群間に差が無かった。ICUスタッフの評価によると、16時間勤務群で知識や臨床的決定能力が最も悪いと評価されていた。
✔ 結論
今回の研究では短い勤務時間が利点があるということを証明できなかった。研修医の身体症状と患者安全に関わるセカンダリアウトカムとはトレードオフの関係にあり、勤務システムの変更を考える際には、この点に注意が必要である。
◎ 私見
研修医の勤務を見直す機会があったので、ちょっと気になっていた論文。Dutyを短くすると研修医の身体症状は軽減されるが有害事象が増える傾向があった。指導医の勤務形態がどうかとか、人数はどれくらいかとかの方が重要な気もするけど。研修医をとるか、患者をとるか…
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