Barbaro RP1, Odetola FO, Kidwell KM, Paden ML, Bartlett RH, Davis MM, Annich GM.
Am J Respir Crit Care Med. 2015 Apr 15;191(8):894-901.
✔ 背景
年間ECMO症例が多いほど死亡率が低下するのかどうかを検討した
✔ 方法
ECMOレジストリを用いた過去25年間の後向き研究。患者は新生児(生後0~28日)、小児(28日~18歳)、成人(18歳以上)の三群に分けて検討した。各年齢群とECMO施行頻度で層別化し、死亡率との関係を検討した。アウトカムは在院死亡率とした。
✔ 結果
1989年から2013年までに290の施設から56,222人の患者登録があった。死亡率には施設間格差が大きかった。通年で検討すると、成人では年間ECMO施行症例が多いほど在院死亡率が低い傾向があることが分かった。2008年から2013年(成人のECMOが増加した期間)で検討しても、ECMO施行症例が多いほど在院死亡率が低い傾向があった(年間1~5症例の施設に比較すると、30症例以上の施設のオッズ比は0.61)。ECMO施行症例数と死亡率の関係はCardiac ECMOでみられる傾向であり、VV-ECMO、Respiratory ECMOではこのような関係は認められなかった。近年では小児や新生児では施行症例数と死亡率の関係は認められなくなっていた。
✔ 結論
新生児と成人では年間ECMO施行症例数が多いほど死亡率が低い傾向があるが、近年では成人にのみこのような傾向が認められる。
ECMO施行施設を拡充するにあたっては施行症例数が多い施設でうけられる恩恵と、遠距離搬送に伴うリスクを勘案しなくてはならない。現在のECMOセンターが需要に見合う活動ができているのなら、本研究の結果を鑑み、あたらしいECMOセンターを増やすのではなく従来のECMOセンターでの治療を行うべきであろう。
文献より引用 |
◎ 私見
結果は予想通りで特に目新しいことはない。経験が多いから成績が良いのか、成績が良いから症例が集まるのか、を考えることにはおそらく意味がない。なぜ、その施設では成績が良くなるのかを考えてみないといけない。目立たないけど基本的な診療を丁寧に行えて、スタッフが同じベクトルの熱意をもっていなければ成績は向上しないと思う。すくなくとも、「とりあえず、やってみよう」というものではない。その前にまず、自分たちが地に足のついた医療が提供できているかどうかを自問するところから始めるべきだと思う。
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