2015年4月19日日曜日

持続脳波モニタによる敗血症患者の評価


Acute brain failure in severe sepsis: a prospective study in the medical intensive care unit utilizing continuous EEG monitoring.
Gilmore EJ, Gaspard N, Choi HA, Cohen E, Burkart KM, Chong DH, Claassen J, Hirsch LJ.
Intensive Care Med. 2015 Apr;41(4):686-94. PMID: 25763756


✔ 背景
 重症患者の70%にせん妄や昏睡などの急性脳機能不全が認められる。脳波で検出された非痙攣性てんかん(NCS)や周期性放電(PD)は予後不良と関連しているとされる。敗血症はNCSやPDの危険因子のひとつで、非痙攣性てんかん重積(NCSE)の危険因子でもある。重症敗血症患者で認められる持続脳波モニタ(cEEG)の異常所見の頻度と危険因子、予後への影響を調査した。
✔ 方法
 単施設前向き観察研究。重症敗血症ならびに敗血症性ショックで脳症評価として少なくとも12時間のcEEGモニタを行った患者を対象とした(この施設ではcEEGは標準的なモニタとして積極的に使用されている)。
 cEEGは国際10-20法に基づき21個の電極を用いて記録した。痙攣性てんかん(CSzs)、痙攣性てんかん重積(CSE)、NCS、NCSE、PD(全般性PD(GPD)、限局性PD(LPD)、両側独立性PD(BIPD)、三相波を伴うGPDの有無を検討した。痙攣性・非痙攣性の定義は以前の報告に従って行い、PDはACNS Terminology for Critical Care EEGを基に定義した。なお、2.5Hz以上のPDや抗けいれん薬投与後に改善する2.5Hz以下のPDはNCSEとして扱った。1~2.5HzのPDで抗けいれん薬投与後に改善傾向にはなるものの明らかとは言えないものはNCSEの可能性ありとした。脳波反応性は、標準的な体外刺激法(名前を呼ぶ→名前を叫ぶ→軽く揺さぶる→鼻梁をくすぐる)によってバックグランド脳波の周波数や振幅が変化するかどうかで判定した。EMGの出現は脳波反応性ありとはしなかった。
✔ 結果
 98人、100回の入室が対象となった。50%が女性で年齢の中央値は60歳であった。APCHEⅡの中央値は23.5で、SOFAの中央値は8であった。25例にPDを認め、そのうち11例はNCSも認めた。PDを伴わないNCSはみられなかった。もともと神経学的疾患を既往に持つ場合にPDやNCSが多く認められた(45% vs 17%)。一方、APACHEⅡ、SOFA、循環不全の程度、鎮静薬はPD・NCSの低リスク因子であった。脳波反応性が認められないと1年死亡率が高い傾向にあったが、PDやNCSは死亡率とは関連が無かった。機能的予後、認知機能、遅発性痙攣/てんかんの予測因子は見つからなかった。
✔ 結論
 敗血症で意識障害のある患者ではNCSやPDは頻繁に認められる。これらの所見は本研究においては予後と関連が無かった。1年後の死亡率と関連していたのは脳波反応性であった。
カプランマイヤー曲線(文献より引用)

◎ 私見
 脳機能不全は興味のあるところなのだけど、脳波の意義がまだまだよくわからない。反応性の有無は役に立ちそうだけど…。簡易脳波モニタでは意味が無いのかとか、BISだとどうかとか考えてしまう。

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