Hendrik J. F. Helmerhorst et al
Crit Care 2015;19:348-
✔ 背景
ICU入室後の動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)と酸素分圧(PaO2)は心肺停止蘇生後の組織灌流と予後に影響すると言われている。両者の院内死亡率に対する影響を調査した。
✔ 方法
NICEレジストリを使用したコホート研究。2007年から2012年の間に心肺停止蘇生後で人工呼吸管理を受けた患者を対象とした。ICU入室24時間で酸素化が最も悪かった時点のデータを参照した。炭酸ガス分圧の正常値は35~45mmHg、酸素分圧の正常値は60~300mmHgとした。院内死亡率との関係を解析した。
✔ 結果
82のICUに入室した5,258人の心肺停止蘇生後患者が対象となった。低換気であったものが22%、過換気であったものが35%存在した。低酸素血症と高酸素血症はそれぞれ8%と3%であった。炭酸ガス分圧も酸素分圧も、値と院内死亡率にはU字型の関係があった。関連因子を調整して検討したところ、過換気と低酸素血症は院内死亡率の有意な予測因子であった(それぞれOR 1.37、1.34)。炭酸ガス分圧と酸素分圧は相乗的には作用しなかった。
✔ 結論
炭酸ガス分圧と酸素分圧は院内死亡率にそれぞれ独立して影響する。
炭酸ガス分圧と院内死亡率(文献より引用) |
酸素分圧と院内死亡率(文献より引用) |
◎ 私見
きれいなU字型を描いている。酸素分圧の一番死亡率が低くなるところが100mmHgよりも高いのが気になるところだけど。ガスを測って調節するのなんてそんなに手間ではないのだから、面倒くさがらずにちゃんとやるべきということ。
0 件のコメント:
コメントを投稿