Smonig R, Wallenhorst T, Bouju P, Letheulle J, Le Tulzo Y, Tadié JM, Gacouin A.
Intensive Care Med. 2015 Sep 10. PMID: 26359169
✔ 背景
せん妄はICU入室患者の多くに認められ、予後悪化因子であるとされる。一方、便秘も重症患者で頻繁に認められる。中枢神経系と腸管は相互に影響しているとされる研究結果があり、便秘とせん妄の関係を調査することにした。
✔ 方法
1年間の前向き観察研究。18歳以上で2日以上人工呼吸管理を受けた患者を対象とした。便秘の管理は個々に自由とした。全例で選択的腸管除染を行った。せん妄はCAM-ICUを1日2回チェックして有無を判定した。排便は半定量的に毎日評価した。
✔ 結果
1,052人がICUに入室した。168人がせん妄評価を受け、105人がせん妄と診断された。最初の排便が認められるまでの時間の中央値は5日であり、せん妄と診断されるまでの時間の中央値は7日であった。排便の遅れ、人工呼吸期間、ベンゾジアゼピンの使用は独立したせん妄の危険因子であった。排便の遅れのAUCは0.76であり、ベンゾジアゼピンの試用期間(AUC 0.65)、人工呼吸期間(AUC 0.64)よりも有意に大きかった。排便の遅れの最も有用なカットオフ値は5日であった。
✔ 結論
ICU入室後の排便の遅れはせん妄の独立した危険因子である。
◎ 私見
腸管と脳の相互作用、というものがあるらしい(不勉強で知りませんでした)。単施設の観察研究であり、結果も微妙なのでそのまま鵜呑みにはできないけれど、排便コントロールというあまり注目されない分野が今後重要な意味を持ってくるかもしれないという点で興味深かった。
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