Greening NJ, Harvey-Dunstan TC, Chaplin EJ, Vincent EE, Morgan MD, Singh SJ, Steiner MC.
Am J Respir Crit Care Med. 2015 Oct 1;192(7):810-6. PMID: 26068143
✔ 背景
慢性呼吸疾患のある患者にとって入院は健康状態悪化や再入院のリスクである。入院後に調べることのできるいくつかの指標で短期的な予後は予想できるが、長期にわたる再入院の可能性を評価する方法は知られていない。これまでの研究で骨格筋機能が肺障害の程度とは関係なく死亡を予測する因子であることが報告されている。ここでは再入院を予測できるかを調査した。
✔ 方法
慢性呼吸器疾患の急性増悪のために入院した患者を対象とした。骨格筋機能は大腿四頭筋量の超音波による評価で行い、その大きさで4群に分類して最終的な予後を評価した。
大腿四頭筋量は7.5MHz 7cmのリニアプローブを用いて計測した。右下肢の大腿直筋を計測対象の筋肉とした。大転子と膝関節(膝蓋骨の上縁)の中点を計測ポイントとした。プローブは筋肉に垂直にあて、力を入れて押しつぶさないようにした。筋肉に垂直になっていることを確保するため、断面積が最も小さくなる切断面を選択した。画面をフリーズし、大腿直筋をトレースして面積を計測した。3切断面の平均値を採用し、身長で補正した。
✔ 結果
191人が対象となった。130人(68%)が再入院もしくは死亡した。骨格筋量(大腿直筋面積)に応じて4群に分けた。0.816-1.407、1.408-1.722、1731-2.053、2.059-3.500(単位はcm*2/m*2)。再入院や死亡の危険因子は、年齢(OR 1.05)、呼吸困難の程度(OR 4.57)、在宅酸素投与(OR 12.4)、大腿四頭筋量(OR 0.34)、前年の入院(OR 4.8)であった。多変量解析によると、在宅酸素投与(OR 4.8)、呼吸困難の程度(OR 2.57)、大腿四頭筋量(OR 0.46)、前年の入院(OR 3.04)が独立した危険因子として検出された。骨格筋量が小さい患者は入院が長期間であった(28.1 vs 12.2)
✔ 結論
大腿骨格筋量が小さい患者は再入院や死亡が多くなる。
大腿骨格筋量と再入院(文献より引用) |
◎ 私見
骨格筋量が小さい群(全体の4分の1)が予後が悪く、それ以外の群についてはそれほど差が無い。つまり、筋肉量が著しく落ちてしまうような状態(栄養状態が極めて悪いとか)の人のみが予後が悪くなる、ということらしい。実際に測ってみて、どんな患者さん達が該当するのかをみてみないと、実感がわかないな。ということで、今度測ってみよう。
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