2015年11月18日水曜日

人工呼吸管理中の横隔膜厚の変化

Evolution of Diaphragm Thickness During Mechanical Ventilation: Impact of Inspiratory Effort.
Goligher EC, Fan E, Herridge MS, Murray A, Vorona S, Brace D, Rittayamai N, Lanys A, Tomlinson G, Singh JM, Bolz SS, Rubenfeld GD, Kavanagh BP, Brochard LJ, Ferguson ND.
Am J Respir Crit Care Med. 2015 Jul 13. PMID: 26167730

✔ 背景
 人工呼吸管理中の横隔膜委縮・機能不全が報告されているが、その頻度や原因は知られておらず、また、横隔膜厚がどのように変化するのかについても知られていない。そこで本研究では人工呼吸管理中の横隔膜厚の変化と横隔膜機能との関係、吸気努力がどのように影響するのかについて検討した。
✔ 方法
 3つの大学病院ICUの107人の人工呼吸管理中の患者と、10人の非人工呼吸管理患者とを対象として検討した。横隔膜厚とその活動度(吸気サイクルでの厚さの変化)は毎日超音波で検査した。
 横隔膜厚は前腋窩線と中腋窩線の間で第9肋間から13MHzのトランスデューサを使用して呼気終末で計測した。横隔膜機能は人工呼吸管理7日目に計測した。CPAPモードとし、努力吸気時と吸気ホールドで計測した。
✔ 結果
 人工呼吸管理中の患者で横隔膜厚が10%以上減少したのは44%、不変であったものも44%であった。一方で10%以上増大したものが12%いた。非人工呼吸管理患者は横隔膜厚はほぼ不変であった。横隔膜収縮活動が小さいほど横隔膜の厚さは減少した。換気駆動圧を上昇させたり調節換気モードにすると横隔膜収縮は減少した。横隔膜厚が減少ないし増加していた患者では最大横隔膜厚変化率が小さかった。
✔ 結論
 人工呼吸管理中に横隔膜厚が増大したり減少したりすることはしばしば認められる。いずれにしろ横隔膜の機能異常を示唆する所見である。患者が正常な吸気努力を維持できる程度の換気補助が望ましい。
横隔膜厚の変化(文献より引用)
◎ 私見
 横隔膜が薄くなることだけが問題ではないことが面白い。厚くなるのは余計な(過剰な)吸気努力や浮腫の存在を示しているのか? 文献中では横隔膜組織の構造変化が考えられるとしているが、こんなに短期間で起きるものだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿