2015年11月20日金曜日

長期人工呼吸管理患者の予後予測(ProVent 14)

Development and Validation of a Mortality Prediction Model for Patients Receiving 14 Days ofMechanical Ventilation.
Hough CL, Caldwell ES, Cox CE, Douglas IS, Kahn JM, White DB, Seeley EJ, Bangdiwala SI, Rubenfeld GD, Angus DC, Carson SS; ProVent Investigators and the National Heart Lung and Blood Institute’s Acute Respiratory Distress Syndrome Network.
Crit Care Med. 2015 Nov;43(11):2339-45. PMID: 26247337


✔ 背景
 長期人工呼吸患者の長期予後は悪く、死亡率は40~60%にも達する。しかも意識障害などのために治療方針の決定に参加することができず、患者家族などに委ねざるを得ないことも問題である。我々はProVentモデルを開発して21日以上人工呼吸管理を受ける患者の1年死亡率を予測できることを示した。
 しかし、多くの重要な診療方針決定が21日より前になされることも事実である。人工呼吸管理開始14日目の情報から1年死亡率の高い患者と低い患者を識別できると、診療方針毛低に役立てることができると考えられる。
✔ 方法
 米国40施設が参加する多施設後向きコホート研究。少なくとも14日間の人工呼吸管理を受けた成人を対象とした。
✔ 結果
 Developmentコホートで1年死亡率を予測する因子を多変量解析してProVent 14 scoreとし、Validationコホートで検証した。491人がDevelopmentコホートに、245人がValidationコホートに含まれた。年齢、血小板数、昇圧剤の使用、血液透析の使用、非外傷が有用であった。1年後の死亡を予測するROCカーブのAUCはDevelopmentコホートで0.80、Validationコホートで0.78であった。
✔ 結論
 14日目のProVent 14 scoreで1年後に死亡するリスクの高い患者を識別することができる。

予測因子とオッズ比(文献より引用)
スコアと生存率のカプランマイヤー曲線(文献より引用)
ProVentスコアと死亡率(文献より引用)
◎ 私見
 長期人工呼吸管理患者のDecision makingに有用と考えられる予後予測スコア。年齢の要素が大きいがこの研究コホートの平均年齢は54歳くらいで、これは日本の大部分のICUの現状を反映していない可能性が高い。ちなみに当施設の人工呼吸管理をうけた成人患者の平均値より10歳も若い。高齢者だけで調べてみるとかすると、もっと良いのかも。

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