Wang CH, Huang CH, Chang WT, Tsai MS, Yu PH, Wu YW, Hung KY, Chen WJ.
Crit Care. 2015 Sep 21;19(1):344. PMID: 26387668
✔ 背景
乳酸値は心肺停止状態における低灌流/虚血状態を反映すると考えられる。現在のガイドラインでは蘇生継続時間にははっきりとした推奨事項は無い。本研究ではCPRの最中に調べられた乳酸値が生存率と関係するか、また、CPR継続時間の指標となり得るかを調査した。
✔ 方法
単施設後向き研究。2006年から2012年までの間に院内で発生した成人の非外傷性心肺停止例1,123例中、蘇生開始から10分以内に乳酸値を計測した340例について解析した。多変量解析により、CPR中に計測された乳酸値と生存率との関係を調査した。また、CPR継続時間と生存率との関係についても調査した。
✔ 結果
50例(14.7%)が生存退院した。乳酸値の平均値は9.6mmol/Lであり、CPR時間の平均値は28.8分であった。乳酸値が高くなるほど生存退院率が低下する関係があった。乳酸値9mmol/L未満では生存退院率に対するオッズ比は2.0となった。CPR時間と生存退院率の関係をはひとつに決めることはできないが、ショック適応の心電図波形であったか、乳酸値<9mmol/L、肝機能障害といった因子の有無によって影響を受けることが分かった。
✔ 結論
CPR中の乳酸値は生存率と関係している。特に9mmol/Lを閾値として用いることで、生存退院の見込みや適切なCPR時間を予想できる。
関連因子の有無ごとの蘇生時間・蘇生確率の関係 |
◎ 私見
生存しない確率が高いからCPRは短くてもよい、と言うための研究ではなく、①同じCPR時間でも乳酸値や心電図波形などの因子の違いで生存退院率は10倍も変わってくる(よって、一概にCPRが長いからと言って諦めるわけにはいかない)、②乳酸値が高い場合はECPRの適応になるのでは?というところを提示している。
新しいガイドライン(AHA G2015)になって、院外心停止と院内心停止は異なるアプローチが必要とされるようになった。蘇生中の検査による予後予測や早期ECPRなど、院内心停止ならではの新しい研究は増えそう。
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