2015年11月24日火曜日

乳酸値を指標とした管理は予後を改善するかもしれない

Early lactate-guided therapy in intensive care unit patients: a multicenter, open-label, randomized controlled trial.
Jansen TC, van Bommel J, Schoonderbeek FJ, Sleeswijk Visser SJ, van der Klooster JM, Lima AP, Willemsen SP, Bakker J; LACTATE study group.
Am J Respir Crit Care Med. 2010 Sep 15;182(6):752-61. PMID: 20463176


✔ 背景
 乳酸値を指標にした重症患者管理が予後を改善するかどうかは分かっていない。乳酸値が3mEq/Lを超えていた重症患者を対象に、これを早期に減少させることを目的とした治療的介入が予後を改善するかどうかを検討した。
✔ 方法
 患者は無作為に2群に振り分けられた。Lactate群はICU入室後8時間において乳酸値を2時間あたり20%以上減少させることを目標として治療を行った。Control群では入室時以外は乳酸値を知らされずに治療介入を行った。在院死亡をプライマリアウトカムとして検討した。
Lactate群の治療プロトコル(文献より引用)
✔ 結果
 Lactate群はControl群に比較してより多くの輸液と血管拡張薬を投与された。しかし、両群間で乳酸値に有意な差は無かった。348例においてITT解析を行ったところ、在院死亡はControl群は43.5%、Lactate群は33.9%で有意差は無かった(p=0.067)。リスク因子を補正して解析したところ、Lactate群で在院死亡率は有意に低くなった(HR 0.61 p=0.006)。Lactate群では入室9~72時間のSOFAスコアが低く、昇圧剤は早期に終了でき、人工呼吸器からの離脱とICU退室が早かった。
✔ 結論
 ICU入室時に高乳酸血症を認める患者では、乳酸値を指標とした治療的介入が予後を改善する可能性がある。
治療内容(文献より引用)
生存率(文献より引用)
◎ 私見
 ちょっと古いけど有名な論文。興味があったのは治療内容で血管拡張薬が使用されていたというところ。最近、重症敗血症患者で血管拡張薬はどうかと思うシチュエーションがあったのでこの論文をひっぱりだして読み直してみた。Lactate群で4割、Contorol群でも2割以上使ってる。当施設ではまず見かけないが…。他の施設ではどうなのでしょうか。

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