2016年5月18日水曜日

呼吸仕事量の主観的評価の信頼性

The validity and reliability of the clinical assessment of increased work of breathing in acutely ill patients
Aiman Tulaimat, Aiyub Patel, Mary Wisniewski, Renaud Gueret.
J Crit Care 2016;34:111-115


✔ 背景
 人工呼吸管理は呼吸仕事量を軽減する目的でしばしば用いられる。呼吸仕事量をベッドサイドで簡便に客観的に測定することはできないので、患者の外観や呼吸窮迫、呼吸努力の増大などの代替指標でをもって判断することになる。そのような主観的評価の信頼性について調査した。
✔ 方法
 なんらかの呼吸補助を要した急性疾患患者を対象とした。集中治療に携わる医師がお互いの評価の内容を知ることができないようにし、10秒間で対象患者の呼吸窮迫の程度を観察し呼吸仕事量増大の徴候の有無を評価し、重症度を判定した(無し、軽度、中等度、重度)。各医療者の評価手順は以下の通り。
    Step 1:呼吸窮迫の程度を主観的に判定
    Step 2:呼吸仕事量増大の11の徴候を判定
    Step 3:バイタルサインの測定
✔ 結果
 主観的に判定された呼吸窮迫の程度は酸素化、呼吸数、呼吸仕事量増大の徴候のうち9つと相関した。低酸素、頻呼吸、呼吸仕事量増大の11の徴候のうち3つ以上があった場合を検出対象としたとき、中等度~重度の呼吸窮迫の主観的判定の感度は70%、特異度は92%、陽性尤度比は8であった。主観的評価、鼻翼呼吸、斜角筋収縮、喘ぎ呼吸、腹筋収縮のカッパ係数は0.53-0.47、胸鎖乳突筋収縮、気管牽引、シーソー呼吸のカッパ係数は0.36-0.23であった。
✔ 結論
 主観による呼吸仕事量の評価はおおむね信頼できる。

◎ 私見
 学生や研修医には呼吸仕事量を”視て”評価することの重要性を強調している。その信頼性を検証した研究。いまだに呼吸数を計測したり記録したりしていない病棟がある。呼吸はつらそうじゃない?って聞いても酸素飽和度で回答されたりして。ちょっとどうにかならないだろうか。

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