Vieillard-Baron A, Matthay M, Teboul JL, Bein T, Schultz M, Magder S, Marini JJ.
Intensive Care Med. 2016 May;42(5):739-49. PMID: 27038480
✔ ECMO
VV-ECMOは重症ARDSにおける治療抵抗性の低酸素血症や換気に起因する肺障害を避けるために用いられる。酸素化を改善することにより、肺高血圧を改善し右室の負荷を取り除くことができる。VA-ECMOは低酸素を避けるだけでなく治療抵抗性の循環不全を治療するために用いられる。ECCO2RはVV-ECMOやVA-ECMOに比べて少ない血流量とスウィープガス流量を用いて高炭酸ガス血症やアシドーシス、ひいては肺や心臓に負荷の強い換気設定を避けるために用いられる。VV-ECMOは発症から7日以内の重症ARDSで重度の低酸素血症が持続し、支持療法に反応しない場合に適応になる。一方、VA-ECMOはARDSに重度の心原性ショックが合併した場合に使用を考慮する。現時点ではECCO2Rはデータ不足のためARDSには推奨できない。
いずれにしろ、血行動態に与えるリスクを勘案したうえで、専門性や経験、多職種連携が必要になる。ECMO中の血行動態モニタはまだ検討の途上にあるが、観血的動脈圧、心エコー、体外循環血流量が必要である。熱希釈法や動脈圧波形解析によるモニタは推奨されない。輸液バランスが大きくなると予後が悪化することが知られているため、輸液バランスを記録することは重要である。一般鉄器に、血行動態管理においては注意深い輸液と昇圧剤の使用が必要になる。循環血液量減少は静脈を虚脱させ、脱血不良から溶血の原因になる。一方、循環血液量過剰では肺水腫が悪化して予後が悪化する。よって、少量の輸液負荷(250ml)などのバランスを重視した輸液管理や血圧やエコーの所見を繰り返しながら昇圧剤を使用するなどの戦略が必要になる。
ECMO中の血行動態管理における特殊な点は以下のとおりである。まず、全身血管拡張に対して血管収縮薬(ノルアドレナリンなど)を使用し、左室機能不全を認めた場合は強心薬(アドレナリンやレボシメンダン)をを投与、右室機能不全に対しては前負荷を適正化して肺血管拡張薬(プロスタサイクリンなど)やカテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)を投与する。早期評価・早期介入が予後を改善する。急性肺性心が原因ならVA-ECMOへの移行を考える。
治療戦略(文献より引用) |
ECMOの立ち位置が解説されている。モニタとか管理の原則はわかるのだけど、それを実現することが難しい。型どおりにはいかないので、ベッドサイドから動けなくなることもしばしばある。ECMOに限らず、一部の人の秘術にならないよう、経験を蓄積して共有する工夫が必要なのでしょう。
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