Marini JJ.
Crit Care. 2019 Oct 21;23(1):326. PMID:31639025
人工呼吸器関連肺障害(VILI)は経肺圧(Stress)とそれに付随する肺容量の変化(Strain)の関係によって起きるが、それ以外にもいくつかの要因が関与する。呼吸数や呼吸管理期間、吸入酸素濃度、高体温、経肺胞肺血管圧較差、呼気(呼息)、そしてパワーである。パワーは一分あたりに加えられるエネルギーであり、分時換気量と三つの圧の合計(Flow resistive、Driving pressure、PEEP)によって定義される。このうちDriving pressureがもっとも直接的にVILIに関与する。
VILIを避けるために、まず肺の脆弱性を抑制し生体の換気・酸素化・血流の必要量を減らすことから始める。深鎮静±筋弛緩薬で経肺圧を最小にし、換気需要を減らして呼吸仕事量を軽減する。低酸素血症が重篤であったり推定した肺容量が小さい場合は腹臥位にする。腹臥位にすることで肺容量を増やして経肺圧(Stress)を小さくすることができるし、酸素化を改善することで吸入酸素濃度を減らせる。解熱、不穏への対処、原因の除去も重要である。次いで呼吸器設定を調節する。呼吸器設定は①換気駆動圧とPEEPの調節、②分時換気量の調節、③IE比と吸気パターンの調節を行う。換気駆動圧は15以下、プラトー圧は27以下にすることを目標にする(どちらも経肺圧で調節する)。PEEPは完全なリクルートメントを目的とせず、Decremental approachでリクルートメントと過膨張の最もバランスの取れた値を目指す。換気量はPaCO2 60程度までを許容することで制限する。IE比は1:1~1:1.5とする。自発吸気努力を消失させた場合は定常流の従量式換気とする。
◎私見
肺損傷を予防するために呼吸器設定をどのように調節するのかというMarini先生の解説。こうやって指導してくれる先輩が自分にはいなかったので、このような文章は貴重。
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