2020年3月13日金曜日

超音波による臓器灌流の評価

Corradi F, Via G, Tavazzi G.
Intensive Care Med. 2019 Oct 25.  PMID: 31654077

循環不全(ショック)は組織低灌流で特徴づけられ、身体所見では三つの窓(皮膚、腎(尿)、意識)、検査所見では乳酸値や静脈血酸素飽和度PvaCO2 gapなどを評価することになる。超音波によって組織低灌流、特に腹腔内臓器の評価を行うことも可能である。

超音波ではドプラを用いてResistive index(DRI)を計測する。これは、低灌流状態では臓器の微小循環が変化して血管抵抗が上昇しDRIも上昇することを利用するものである。

腎臓のDRI(RDRI)は重症敗血症における急性腎傷害の発生を予測するなどの目的で使用される。RDRIが高いほど腎血管のコンプライアンスが悪いことを意味する。ただし、腹腔内圧、不整脈、低酸素、右心不全などに影響されることを知っておかなくてはならない。RDRIは1)血行動態が安定しているように見える患者における循環血液量減少の早期発見、2)腎血流量の評価、3)局所循環の改善を指標した平均血圧の推定などにおいて感度が高い。RDRI > 0.7は低酸素でなければ臓器灌流が異常であることを示唆する。腎静脈血流パターンが非連続性であったり間歇的であったりする場合は腎うっ血が示唆される。腎静脈血流の代替として門脈血流パターンを用いることもできる。門脈血流拍動指数(Portal vein pulsatility index; PVPI)> 50%では静脈系のうっ血が示唆される。

脾臓は心拍出量の10%、内臓器血流の約3分の2(800ml以上)の血液をプールしており、循環不全に伴って血管収縮が起こり臓器血流を維持しようとする。輸液負荷によって脾臓のDRI(SDRI)が4%以上減少した場合、輸液に反応して臓器血流が回復したことが示唆される。さらにSDRI >0.71では循環血液量減少に極めて感度が高いことが報告されている。

◎私見
単純に血圧だけ評価するのではなく、灌流をしっかり評価することが大事。その一つの手段として超音波が使えるのではないかという提案。単純に血圧にこだわって大量にカテコラミンを注ぎ込んではいけないのである。

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