2015年2月24日火曜日

アセトアミノフェンは敗血症における酸化ストレスを軽減する

Randomized, Placebo-Controlled Trial of Acetaminophen for the Reduction of Oxidative Injury in Severe Sepsis: The Acetaminophen for the Reduction of Oxidative Injury in Severe Sepsis Trial
David R. Janz, MD, MSc1; Julie A. Bastarache, MD2; Todd W. Rice, MD, MSc2; Gordon R. Bernard, MD2; Melissa A. Warren, MD2; Nancy Wickersham, BS2; Gillian Sills, BS2; John A. Oates, MD;3 L. Jackson Roberts II, MD3; Lorraine B. Ware, MD2,4; for the Acetaminophen for the Reduction of Oxidative Injury in Severe Sepsis Study Group

Crit Care Med 2015; 43:534–541

✔ 背景
 さまざまな重症疾患で血漿中の遊離ヘモグロビンが上昇することが知られており、AKI発症や敗血症における死亡率上昇と関係している事が報告されている。このメカニズムとしては、NOスカベンジャーとなり血管を収縮させる、血管内膜障害、F2-isoprotanes(F2-IsoP)遊離作用が考えられている。アセトアミノフェンは遊離ヘモグロビン内のプロトポルフィリンラジカルを減らすことにより脂質の過酸化を抑制し、F2-IsoPsの遊離を減らし、酸化ストレスを軽減できるかもしれない。
✔ 方法
 単施設で行われた無作為化試験。ICU入室24時間以内の重症敗血症患者を対象とし、遊離ヘモグロビン≧10mg/dLであった患者のみを無作為化した。48時間以内にアセトアミノフェンの投与を受けていた患者、アレルギー、24時間以内にASTもしくはALTが400以上であった患者、慢性肝疾患、妊娠、内服や経腸投与ができない患者、主治医の拒否があった場合は除外した。アセトアミノフェンもしくはプラセボ 1gを6時間毎に3日間経腸ないし経口投与した。
✔ 結果
 245人が重症敗血症で、このうち51人が対象となった。さらに5人が遊離ヘモグロビンが検出されず除外され、1人が主治医の意向で対象から外れた。このうち40人が治療プロトコルを完遂した。
 ベースラインはプラセボ群で高齢、F2-IsoP、Creなどが高い傾向にあった。遊離ヘモグロビンに差はなかった。感染原因としてもっとも多いのは肺炎で、次に尿路感染症であった。
 プライマリアウトカムである3日目のF2-IsoPには両群間で差が無かったが、2日目ではアセトアミノフェン群で有意に低くなっていた。セカンダリアウトカムである3日目のCreはアセトアミノフェン群で有意に低かった。院内死亡率、副作用の発生率には有意な差が無かったが、アセトアミノフェン群で死亡率が低く、副作用が多い傾向があった。
✔ 結論
 遊離ヘモグロビン上昇を伴う重症敗血症ではアセトアミノフェンにより酸化ストレスを軽減して腎機能を改善することができるかもしれない。

Creatinineの推移(文献より引用)
生存率のカプランマイヤー曲線(文献より引用)
◎ 私見
 酸化ストレスの軽減という観点からアセトアミノフェンを使用するとどうかという研究。かなり人数が少ないので確定的なことは言えないけど。副作用もあるので、追試があればその結果を見たい(いまのところClinicalTrial.govには掲載されていない)。


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