Zarychanski R, Abou-Setta AM, Kanji S, Turgeon AF, Kumar A, Houston DS, Rimmer E, Houston BL, McIntyre L, Fox-Robichaud AE, Hébert P, Cook DJ, Fergusson DA; for the Canadian Critical Care Trials Group.
Crit Care Med. 2014 Dec 9. PMID: 25493972
✔ 背景
敗血症の病態には全身性炎症反応、血管内膜障害、生体反応としての過凝固がある。凝固系と炎症反応の間には関係があり、これまでも様々な抗凝固療法が試みられてきた。ヘパリンはアンチトロンビンの作用を増強して抗凝固作用を発揮する。トロンビンを抑制することで炎症を抑制できるかもしれない。また、ヘパリンそのものが抗炎症作用を持つとの報告もある。重症敗血症、敗血症性ショック、感染性DICに対するヘパリンの意義について調査した。
✔ 方法
システマチックレビューとメタアナリシスを行った。未分画ヘパリンもしくは低分子ヘパリンを敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、感染性DICに対して使用した臨床研究を対象とした。プライマリアウトカムとして死亡率を採用した。安全性アウトカムとして出血、輸血、血小板減少の頻度を調査した。
✔ 結果
9つの臨床研究から2,637人の患者を対象とした。ヘパリンをプラセボと比較した場合、死亡のリスクは0.88であった。他の抗凝固療法と比較した場合、死亡のリスクは1.30であった。出血のリスクは、プラセボと比較した場合は有意な差が無かったが(×0.79)、他の抗凝固療法と比較した場合、有意に高かった(×2.14)。
✔ 結論
ヘパリンは死亡率の低下と関係していた。しかし、その臨床的インパクトはまだ不明確である。安全性についてはさらなる研究が必要であるが、出血が増えることについては否定できない。
ヘパリン vs プラセボ/通常治療(文献より引用) |
ヘパリン vs 他の抗凝固療法(文献より引用) |
◎ 私見
血栓症予防では抗凝固薬を使用しているが…。さて、この論文。何もしない<ヘパリン<他の抗凝固療法ということだろうか? 比較対象となった他の抗凝固療法というのがアンチトロンビンⅢであったりART-123であったりなのだが、これらの薬剤の評価が定まっているとは言い難いので、どのように評価してよいのかちょっと判りづらい。
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