2015年2月27日金曜日

せん妄は人工呼吸患者の予後を悪くする(SLEAP二次解析)

Prevalence, Risk Factors, and Outcomes of Delirium in Mechanically Ventilated Adults
for the SLEAP Investigators and the Canadian Critical Care Trials Group

Critical Care Medicine:March 2015 - Volume 43 - Issue 3 - p 557–566

✔ 背景
 重症患者でせん妄はよくみられ、予後悪化因子であることが知られている。プロトコルに基づいた鎮静管理をうけた人工呼吸管理患者において、せん妄の有無で予後や患者背景を比較した。
✔ 方法
 SLEAP studyは16の施設で行われた人工呼吸管理中の鎮静中断の効果を検討する無作為化試験であるが、このデータを用いて二次解析を行った。
✔ 結果
 全ての患者がプロトコルに基づいて鎮静管理が行われた。せん妄はICDSCを用いて毎日チェックした。せん妄は226人(53.8%)に認められた。昏睡はせん妄患者の32.7%に認められ、せん妄のない群(22.7%)より有意に多かった。せん妄発症のタイミングの中央値は3.5日であり、せん妄持続時間の中央値は2日であった。せん妄患者では男性、外傷/術後、喫煙、喫酒が多かった。せん妄患者は人工呼吸管理期間、ICU在室日数、在院日数が長かった。また、せん妄患者は身体抑制を受ける比率が高く、気管切開を受ける率も高かった。せん妄発症に関与する独立した危険因子は、身体抑制(HR 1.87)、抗精神病薬(HR 1.67)であった。ミダゾラムのHRは0.998であった。鎮静中断の有無とせん妄発症は関係が無かった。
✔ 結論
 人工呼吸患者において、せん妄は頻繁に認められ、人工呼吸管理期間や在院日数延長に関与していた。身体抑制が最もせん妄と関係していた。

せん妄の有無と抜管成功(文献より引用)


◎ 私見
 せん妄が予後を悪くするのか、予後の悪いような疾患がせん妄を起こすのか、という点についてはまだ明らかにはならない。それにしても、危険因子についてすらまだまだ判っていないことがあるのだなというのが率直な感想。

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