Ospina-Tascón GA, Umaña M, Bermúdez W, Bautista-Rincón DF, Hernandez G, Bruhn A, Granados M, Salazar B, Arango-Dávila C, De Backer D.
Intensive Care Med. 2015 PMID: 25792204
✔ 背景
静脈血と動脈血の炭酸ガス分圧較差は組織低灌流を示す指標であることが報告されている。実際、炭酸ガス分圧較差の継続的拡大が予後悪化を予測することが臨床研究で示されている。しかし、炭酸ガス分圧較差はHalden効果のため低灌流にもかかわらず正常値となることも知られている。そこで酸素含量較差との比を用いることで正確に嫌気性代謝の状態を検出できるのではないかと考えられるようになった。肺血症性ショック早期におけるCv-aCO2/Da-vO2比の予後推定能を調べる。
✔ 方法
単施設前向き観察研究。135人の敗血症性ショックの患者を対象とした。初期蘇生においては平均血圧≧65、尿量≧0.5ml/kg/hr、PPV、CVP、混合静脈血酸素飽和度>65%、乳酸値正常化を指標として治療した。のあるアドレナリンを昇圧剤の第一選択として使用し、バゾプレシンは0.03UI/minまでとした。心機能低下が明らかなときや血管内容量補正や平均血圧≧65を達成しても混合静脈血酸素飽和度が低いときはドブタミンを併用した。6時間を経ても昇圧愛の必要量が減らない時はステロイドを併用した。血糖は150mg/dl未満となるように調整した。ストレス潰瘍と静脈血栓症の予防を行った。乳酸値とCv-aCO2/Da-vO2比に応じて患者を4群に分類した。
✔ 結果
乳酸値が高く(≧2.0mmol/L)、Cv-aCO2/Da-vO2比も高い(>1.0)とSOFAが高く28日死亡率が悪い傾向があった。両指標が正常化した群の予後は良好であった。多変量解析の結果、6時間後の乳酸値のほか、0時間と6時間の時点でのCv-aCO2/Da-vO2比も予後推定に有用であることが判明した。
✔ 結論
乳酸値とCv-aCO2/Da-vO2比は予後推定に有用な指標である。Cv-aCO2/Da-vO2比は敗血症性ショックの新しい治療指標となり得る。
Cf)計算式
・DO2=CaO2×CI
・VO2=(CaO2-CvO2)×CI
・ERO2=(CaO2-CvO2)/CaO2
・CaO2=(Hb×SaO2×1.34)+(PaO2×0.003)
・CvO2=(Hb×SvO2×1.34)+(PvO2×0.003)
・Pv-aCO2=PvCO2-PaCO2
・Da-vO2=CaO2-CvO2
・CCO2=PlasmaCCO2×[1-(0.0289×Hb)÷[(3.352-0.456×SpO2)×(8.142-pH)]]
・PlasmaCCO2=2.226×S×plasmaPCO2×(1+10pH-pK')
・S=0.0307+[0.00057×(37-T)]+[0.00002×(37-T)*2]
・pK'=6.086+[0.042×(7.4-pH)]+[[(38-T)]×{0.00472+0.00139×[7.4-pH]}]
◎ 私見
組織低灌流の新たな指標。面白いんだけど計算が面倒すぎる…。
組織低灌流が治療のゴールなわけで、入口(血圧、心拍出量など)だけでも出口(混合静脈血酸素飽和度、乳酸値など)だけでもだめ。かといって、組織低灌流そのものを見ようと思うと(組織酸素飽和度など)あまりにも局所の状態にフォーカスしすぎて全身の状態を反映しなくなる。この指標は全身の組織低灌流を見ることができるかもしれない、という点で興味深い。
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