DiNino E, Gartman EJ, Sethi JM, McCool FD.
Thorax. 2014 May;69(5):423-7. PMID: 24365607
✔ 背景
適切なタイミングで抜管することが必要だが、抜管成功を正確に予測する方法はない。横隔膜の動きをMモードで計測する方法があるが、一回換気量や周囲の組織の抵抗やコンプライアンスに影響されてしまう。Zone of apposition (ZAP)を計測に用いることでこの欠点を回避できる。すなわち、吸気時の横隔膜肥厚が横隔膜の収縮力と考えることができる。この評価法によって抜管成功を予測することができるかどうかを検討した。
✔ 方法
呼吸循環の安定した人工呼吸管理中の63人を対象とした。呼吸不全以外の臓器不全についてはその有無を問題としなかった。
・測定
横隔膜厚(TDI)は7~10MHzのリニアプローブを用いた。第8~10肋間の中腋窩線上から右横隔膜を描出した。上体は20~40度挙上させて計測した。TDIは流量計を用いて吸気終末と呼気終末に測定した。⊿TDI%は((呼気終末TDI-吸気終末TDI)/呼気終末TDI)×100で求めた。⊿TDI%はSBTの最初の5分以内に計測して3~5呼吸分の値を平均した。
・プロトコル
抜管に関わる医療チームははTDIの結果を知らされないようにした。抜管成功は気管チューブ抜去後48時間以上自発呼吸を維持できた場合とした。
✔ 結果
63人中、27人は自発呼吸、36人はPSVで離脱試験が行われた。⊿TDI%>30%の抜管成功に対する感度、特異度は88%、71%であり、PPV、NPVは91%、63%であった。ROCは0.79であった。
✔ 結論
抜管成功の予測に横隔膜エコーは有用である。
各指標と感度特異度(文献より引用) |
◎ 私見
いくつかの指標で感度・特異度をみている。加えて、SBTを完全な自発呼吸で行うかPSVで行うかでこれらの指標がどのように変化するかもみている。自発呼吸下では特異度が高く、PSV下では感度が高くなる傾向がある様子。自発呼吸の27人では⊿TDI%の特異度100%、というのがすごい。ただし63人中14人が抜管失敗しているというのは多すぎないだろうか。この手の臨床試験は、患者背景やそこで行われる治療の内容に大きく左右されるので、自分の臨床に取り入れるには慎重にならざるを得ない。 でも、横隔膜エコーは興味あるので、ちょっと測ってみようかな。
0 件のコメント:
コメントを投稿