2015年5月11日月曜日

ハロペリドールはせん妄を増やすかもしれない

Association of cumulative dose of haloperidol with next-day delirium in older medical ICU patients.
Pisani MA, Araujo KL, Murphy TE.
Crit Care Med. 2015May;43(5):996-1002. PMID: 25746748


✔ 背景
 せん妄は高齢重症患者で50-90%にみられ、予後を悪化させる独立因子であることが知られている。年齢、認知症、重症度、高血圧、喫煙、代謝障害など多くの危険因子が報告されている。薬剤もせん妄の原因となるが、せん妄に対して頻繁に用いられるハロペリドールの寄与については知られていない。
✔ 方法
 単施設前向き観察研究。Medical ICUに入室し、1回以上ハロペリドールを投与された60歳以上の高齢患者(93人)を対象とした。このうち72人が気管挿管されていた。せん妄の有無はCAM-ICUならびに電子カルテの記載をもとにしたアルゴリズムで判定した。
✔ 結果
 非挿管患者において、いくつかの要因を調整して検討したところ、ハロペリドールの累積投与量が多くなるほどその翌日のせん妄発症の危険性が高くなっていた(OR 1.05; 1.02-1.09)。気管挿管されることは翌日のせん妄発生を約5倍に増やした。気管挿管済みの患者においてはハロペリドールの累積投与量は翌日のせん妄発生とは有意な関係が無かった。
✔ 結論
 高齢重症患者で非挿管の場合、ハロペリドールをせん妄に対して使用することの意義を検証する必要がある。
翌日のせん妄発生に寄与する因子(文献より引用)
◎ 私見
 ハロペリドールはせん妄の原因を取り除くわけではないので結果には全く驚かなかったけど、"翌日のせん妄発症率とは関係が無い"と予測していたので少しびっくり。OR 1.05をどうとらえたらよいのかという問題はある。

0 件のコメント:

コメントを投稿