Thornton JD, Schold JD, Venkateshaiah L, Lander B.
Crit Care Med. 2013 Feb;41(2):382-8. PMID: 23263617
✔ 背景
電子カルテは紙媒体のカルテに比べて落ちが無く臨床的決断をするうえで適切な記載がなされるとされ、導入のために多くの資金がつぎ込まれてきた。しかし、IT化の進歩に伴って患者に害が及ぶ、”e-iatrogenesis”とも言うべき現象が生じてきた。そのひとつがコピペに伴う問題である。コピペは、記載の誤りや助けにならない情報、古い情報が長い間修正されずに残ってしまう。ICU勤務医師の電子カルテ上の記載のコピペの頻度とメカニズムを明らかにする。
✔ 方法
大学病院のICU14床に入室し、連続した72時間在室した患者を対象とし、電子カルテの記載を後向きに検討した。
✔ 結果
62人の研修医Residentと11人の主治医Attendingによる、135名の患者に対する2,065の電子カルテの記載(評価と方針の部分の記載)が検討対象となった。平均在室日数は7日で、ひとりあたり平均16のカルテ記載がされた(研修医と主治医の記述はほぼ同数)。
カルテの”評価と方針”の項目は主治医に比べて研修医の方が平均92語長く記載されていた。研修医の記載の82%、主治医の記載の74%に20%以上のコピペ記述が認められた。研修医は主治医よりコピペの頻度が高いが、臨床情報のコピペ量は主治医より少なかった(55% vs 61%、p<0.001)。休日前(つまり一昨日)のカルテからのコピペをする行為は研修医の方が少なかった(66% vs 94%, p<0.001)。休日前の自分のカルテからにしろ、昨日の同僚のカルテからにしろ、研修医も主治医もほぼ同じ量の情報を複写していた。上級医のカルテからのコピペ量は20%未満であった(主治医→研修医も、集中治療指導医Critical care physician→主治医 or 研修医も)。
コピペに関わる患者要因は見つからなかった(ICU在室日数、年齢、性別、人種、保険、SOFAスコア、SOFAの変化率、診断、人工呼吸日数)。コピペ量の医師間の差は大きかった。
✔ 結論
ICUにおけるカルテのコピペは頻繁に行われている。研修医は頻繁にコピペし、担当医は一回当たりの情報量を多くコピペする傾向があった。
◎ 私見
ちょっと古いがコピペの話題。カルテを電子化することで便利な反面、記録の複製が容易に行えるようになってしまっている。時折見かけるし、明らかに古い情報をあたかも現在進行形のように記載しているのを見たこともある(いま勤めているICUではない)。ICUでは毎日介入を繰り返すので患者さんはどんどん状態が変わる。だから現在の状態を評価して方針をたてたのならコピーには絶対にならない…はず。
✔ 結果
62人の研修医Residentと11人の主治医Attendingによる、135名の患者に対する2,065の電子カルテの記載(評価と方針の部分の記載)が検討対象となった。平均在室日数は7日で、ひとりあたり平均16のカルテ記載がされた(研修医と主治医の記述はほぼ同数)。
カルテの”評価と方針”の項目は主治医に比べて研修医の方が平均92語長く記載されていた。研修医の記載の82%、主治医の記載の74%に20%以上のコピペ記述が認められた。研修医は主治医よりコピペの頻度が高いが、臨床情報のコピペ量は主治医より少なかった(55% vs 61%、p<0.001)。休日前(つまり一昨日)のカルテからのコピペをする行為は研修医の方が少なかった(66% vs 94%, p<0.001)。休日前の自分のカルテからにしろ、昨日の同僚のカルテからにしろ、研修医も主治医もほぼ同じ量の情報を複写していた。上級医のカルテからのコピペ量は20%未満であった(主治医→研修医も、集中治療指導医Critical care physician→主治医 or 研修医も)。
コピペに関わる患者要因は見つからなかった(ICU在室日数、年齢、性別、人種、保険、SOFAスコア、SOFAの変化率、診断、人工呼吸日数)。コピペ量の医師間の差は大きかった。
✔ 結論
ICUにおけるカルテのコピペは頻繁に行われている。研修医は頻繁にコピペし、担当医は一回当たりの情報量を多くコピペする傾向があった。
コピペの頻度と量(文献より引用) |
ちょっと古いがコピペの話題。カルテを電子化することで便利な反面、記録の複製が容易に行えるようになってしまっている。時折見かけるし、明らかに古い情報をあたかも現在進行形のように記載しているのを見たこともある(いま勤めているICUではない)。ICUでは毎日介入を繰り返すので患者さんはどんどん状態が変わる。だから現在の状態を評価して方針をたてたのならコピーには絶対にならない…はず。
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