2015年10月24日土曜日

動脈圧ライン挿入時の感染予防策

Arterial Catheter Use in the ICU: A National Survey of Antiseptic Technique and Perceived Infectious Risk.
Cohen DM, Carino GP, Heffernan DS, Lueckel SN, Mazer J, Skierkowski D, Machan JT, Mermel LA, Levinson AT.
Crit Care Med. 2015 Nov;43(11):2346-53. PMID: 26262949


✔ 背景
 近年の報告によると動脈圧ラインによる血流感染は0.9~3.4/1,000catheter-daysの頻度で発生しており、中心静脈カテーテルと同等の頻度であるとされている。2011年のCDCのガイドラインでは動脈圧ライン挿入の際に滅菌グローブ、手術用キャップ、マスク、滅菌ドレープを使用することを推奨している。本研究ではこの推奨の遂行度を調査した。
✔ 方法
 動脈圧カテーテル挿入時の感染予防策について無記名のウェブ・アンケート調査を行った。対象はSCCMの会員で、11,361人の医師、看護師、呼吸療法士など。
✔ 結果
 1,265人から回答があった(回答率11%)。過去1年圧ラインを挿入したことが無いなど除外して1,029人の回答を解析した。CDCの推奨する予防策をひとつでも使用しているものは44%しかおらず、その全てを行っているものは15%に過ぎなかった。動脈圧ラインに起因する血流感染発生率の平均値と中央値はそれぞれ0.3/1,000catheter-days、0.1/1,000catheter-daysであった。39%の回答者が強制的であれば予防策遵守をするつもりがあると答えた。
✔ 結論
 動脈圧ライン挿入時の感染予防は不十分であった。予防策を講じていたのは半数に満たなかった。動脈圧カテーテルによる血流感染のリスクを低く見積もっており、強制的な予防策遵守も効果が期待できない。さらなる調査と感染予防策の構築が必要である。
全感染予防策を行っているかどうか-専門科別(文献より引用)
全感染予防策を行うつもりがあるか-専門科別(文献より引用)
◎ 私見
 自分もそうだが、確かに動脈圧ラインはいい加減に挿入されているのが目立つ。かといってフル装備で予防を講じることを強制できるかというと難しい。これまで困って無かったからとかOpen-ICUだから、という言い訳はできない・・・ さて、どうしよう。
 それにしても、麻酔科医ってこんな感じかな? 僕も麻酔科医出身だがこんなに差があるとは思えないのだけど。アメリカと日本は違うと信じたいです。

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