Borges JB, Hedenstierna G, Larsson A, Suarez-Sipmann F.
Crit Care. 2015 Sep 21;19:342. PMID: 26387728
✔ AmatoらはDriving pressure(ΔP)を減らすような人工呼吸器の設定により予後を改善することを示した。PEEPを適用することによってもたらされた肺の機械的状況、すなわち含気のある肺容量にΔPが関係していることから、肺保護換気は含気のある肺容量に応じて設定されるものであることが示唆される。これは、大部分の肺がつぶれてしまっているARDS患者において一回換気量や気道内圧を制限しても、Tidal hyperinflatioが起きると高濃度の炎症性メディエータが誘導されて非人工呼吸管理期間が延長してしまうことからもわかる。実験データからも換気の大部分を引き受ける小さい肺への負荷を取り除くことが重要であることがいえる。
✔ どのようにしてΔPを減らせばよいのだろうか。我々は肺リクルートメントと注意深いPEEP設定によって肺の”機械的状況”を積極的に変化させる方法に魅力を感じている。最大のリクルートメントを達成できる肺開放圧の分布は個々に異なるが、これを考えながら段階的に肺に圧をかけることで過膨張に陥った肺領域から新たにリクルートされた肺領域に換気の再分布をもたらすことができる。これによって経肺圧が均等となり、腹側肺の過膨張を解除することができる。さらに、肺リクルートメントがうまくいくと肺コンプライアンスが改善して機能的肺容量が増大し、換気量を減らすことなくΔPを減らすことができる。
✔ 肺リクルートメントは複雑な過程であり、リクルート可能な肺容量とそれを維持するためのPEEPによって効果が変わる。リクルートメント手技に関する問題点として肺過膨張が指摘されてきた。部分的/非個別化された手技は我々の経験にそぐわないうえに全く逆の効果があると考えており、最大/個別化された手技に比べて良くないと感じている。部分的リクルートメントは肺虚脱と換気不均等分布が残存するため、局所の過伸展を悪化させてしまう。リクルートメント戦略は最大限可能な肺リクルートメントを達成できるように計画しなくてはならない。
✔ ”新たにつくり出された”完全にリクルートされた肺においては、新たにリクルートされた肺容量を開放し続けられるようなPEEPを設定し、ΔPが最小となるような設定にしなくてはならない。これは、より均質化された肺の改善した機械的状況を維持するだけでなく、再虚脱に伴う肺損傷を予防する意味もある。
リクルートメントとPEEPレベルの設定の例(文献より引用) |
◎ 私見
自分の考え方、やり方に近い。注意すべきはリクルートメントを具体的にどのように行うかだろう。肺の虚脱が最大限改善しなくてはならないので。ひとつはKacmarekらのOpen lung approachに記載のある方法。過去の報告も参考にして、どれが自分に(自分の対象とする患者に)有用か考え直さないと。
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