2020年2月6日木曜日

敗血症のタイプとステロイド

Antcliffe DB, Gordon AC.
Crit Care Med. 2019 Dec;47(12):1782-1784. PMID:31162195

敗血症は発現しているRNAによって二つのタイプに分けられる(Sepsis response signature (SRS) 1とSRS 2)。SRS1はSRS2に比べて免疫抑制と死亡率の高さで特徴づけられる。
敗血症性ショックにおけるHydrocortisoneの効果をみると、SRS1では死亡率がほとんど変わらず(OR 0.85)、SRS2では死亡率が悪化する(OR 7.9)。血圧はSRS1にしろSRS2にしろ上昇傾向になる。ADRENAL study(90日死亡率28%)ではステロイドの効果が証明できず、APROCCHSS study(90日死亡率46%)では有効であったという過去の研究はこのタイプの違いによって説明できるかもしれない。
ステロイドには糖質コルチコイド作用と鉱質コルチコイド作用があり、それぞれ免疫・代謝調整作用とNa・水貯留作用を有する。Hydrocortisoneは1:1の割合でそれぞれの作用を持つ。SRS2では免疫機能がある程度正常なので免疫抑制作用のある薬剤より鉱質コルチコイド作用がメインのFludrocortisoneによる心血管系作用を期待するのが良いかもしれない。

◎私見
こうやって自分の意見を開陳してくれる先輩にめぐまれなかった自分としては、このような文献はありがたい。正しい、誤っている、どちらにしろ考えるきっかけになるから。
ステロイドを敗血症性ショックだからとむやみに使ってはいけないということを示しているのだが、では、この二つのタイプをどうやって簡便に見分けることができるか。

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