2015年4月30日木曜日

IT化は患者予後を変えるか?

Impact of the Electronic Medical Record on Mortality, Length of Stay, and Cost in the Hospital and ICU: A Systematic Review and Metaanalysis.
Thompson G, O'Horo JC, Pickering BW, Herasevich V.
Crit Care Med. 2015 Mar 9. PMID: 25756413


✔ 背景
 アメリカ政府はHealth Information Technology for Economic and Clinical Health(HITECH)を通じてHealth information technology(HIT)の発展のためにに多額の投資を行った。これは、HITがより良い医療を提供し、コストを削減することを期待して行われたものだが、HITの発展の臨床効果についてはあまり知られていない。
✔ 方法
 2013年7月までにHITについて発表された論文をReviewした。電子オーダリングシステム(Computized physician order entry; CPOE)、臨床診断意思決定支援システム(Clinical decision support systems; CDSS)、サーベイランスシステム(Surveillance systems; SS)、LANアナライザ("Sniffer")、電子診療録(Electronic Medical Record; EMR)の臨床的意義(死亡率、在院日数、コスト)を調べた者を選択した。
✔ 結果
 データベースから2736編、手検索で67編の論文が見つかった。そのうち45編が検討対象となり、26編を用いてメタアナリシスを行った。
・死亡率
 検討対象となった45編のうち33編が在院死亡率をエンドポイントとして検討していた。メタアナリシスによるとCPOEとEMRは死亡率に影響が無かった。CDSSはわずかに良い影響を与える傾向が認められた(OR 0.83; 95% CI 0.69-1.00)。Snifferは有意に死亡率を低減した(OR 0.85; 95% CI 0.76-0.94)が、研究の不均質性が認められた。
 ICU死亡率をエンドポイントしていたものは、CPOEが5編、CDSSが4編、Snifferが3編存在していたが不均質性が大きく、メタアナリシスでもその効果に一定の傾向は認められなかった。
 90日死亡率をエンドポイントとしていたのは、CDSSが2編、Snifferが1編あったが、有用性は認められなかった。
・在院日数
 CPOE4編、Sniffer1編、CDSS3編が在院日数を検討していた。CPOEが在院日数を減少させる傾向が認められた(Mean decrease 0.67; 95% CI -2.07-0.73)が、やはり不均質性が大きかった。3編がICU在室日数に言及していたが、有意な影響は認められなかった。
 観察研究などメタアナリシスに供することのできない研究が26編認められた。16編が在院日数に影響なしと結論し、1編が研究対象の1施設のみで在院日数を減少させたと報告した。8編は在院日数を減少する効果があると報告し、1編はEMRで在院日数が延長したと報告した。
・コスト
 14の研究があったが不均質性が著しく、メタアナリシスが行えなかった。CDSSで薬剤費が減少したとするものやEMRでコストが増大したとするものなどがある。
✔ 結論
 HITの導入が死亡率、在院日数、コストに対して大きな効果があることを証明できなかった。研究の不均質性が大きかった。効果を謳う前に、これらのテクノロジーの臨床効果を詳細に検討すべきである。

◎ 私見
 高度なテクノロジーが患者予後を変えるわけではないということ。使う側の影響が大きすぎるということだと思う。ちなみに自分の勤めるICUでは電子媒体と紙媒体が混在している。両方の媒体で指示を記載する、などのルールがあって、かえって非効率なんじゃないかと思ったりもしている。

2015年4月28日火曜日

心停止患者の生存率を高めるための10の戦略

Ten strategies to increase survival of cardiac arrest patients.
Cariou A, Nolan JP, Sunde K.
Intensive Care Med. 2015 Apr 10. PMID: 25860446


1.Bystander CPRの増加
 質の高いCPRによって初期リズムが除細動適応である可能性が高まり、長期予後の改善につながるとされている。通信指令係による電話でのCPR指示を含む、コミュニティーにおけるCPR教育が重要。

2.市民救助者による早期AED使用
 早期除細動は生存率を改善するため、最初のショックまでの時間をできるだけ短くするためにあらゆる努力を行わなくてはならない。AEDは警察や消防隊員、一般市民救助者が簡単に使用できる。

3.質の高いALS
 ALSとはCPR、除細動、気道管理、薬剤投与、治療機材の使用を組み合わせたものである。予後を改善させるという証拠はないが、ガイドラインに従って質の高いALSを提供するよう努力するべきと考える。薬剤の種類、薬剤の組み合わせ、胸骨圧迫装置などのデバイスが予後を改善するかどうかさらなる研究と発展が期待される。

4.ALSのモニタ
 質の高いALSを達成するためにはモニタが必要である。心拍出量を反映する呼気炭酸ガス濃度は、リアルタイムでCPRの質をモニタできる方法である。高度な気道確保を要するが胸骨圧迫の質を持続的に評価でき、ショック後のROSCとPEAを判別できる。NIRSや心室細動波形解析は循環や除細動の適正化に有用かもしれないツールである。蘇生困難例では心停止に至った原因の診断が重要であるが、超音波を用いた評価方法を確立することが特異的治療につなげるために必要である。

5.蘇生困難例に対する高度治療の開発
 蘇生困難例のでは胸骨圧迫装置を用いることで蘇生適応範囲を広げることができるかもしれない。重要臓器灌流を維持し、適切な病院への搬送を可能とし、ECLSを導入することができる。ECLSが標準的治療不応例の蘇生に有用であるという証拠が多く集まってきている。しかし、患者選択やその効果についてはまだ明らかになっていないこともある。

6.蘇生後ケアの改善
 心停止の原因を治療し脳を二次損傷から保護することで短期的にも長期的にも蘇生後患者の予後を改善することができる。近年のガイドラインでは冠動脈疾患が原因の場合は即時のカテーテル治療を推奨している。低酸素性/虚血性脳障害は院外心停止の死因で最も多い。現時点では脳機能の回復を最大にする治療は体温を最初の24時間、33~36℃に維持することである。早期再灌流療法と低体温療法を組み合わせることで、良好な長期予後が期待できる。

7.予後推定
 蘇生後の昏睡患者の神経学的予後を推定することは難しい。良好な経過の患者は数日で昏睡から覚醒することがあるため、この期間に延命治療を減らす(Withdrawする)のは早すぎる。臨床所見だけでは延命治療の継続に関する決断をするには不十分である。ERC/ESICMは蘇生後昏睡患者に関する予後推定のガイドラインを発効している。一般に、予後予測はROSCより72時間以降に行い、いくつかの予後予測因子(神経電気生理、画像検査、バイオマーカ)を組み合わせて行うべきである。それらの結果が食い違った場合の予後予測については分かっていないため、さらなる再評価が推奨される。

8.リハビリテーション
 神経学的予後はCPCなどによって評価されるが、良好と判断された場合でも認知機能やQOLが良い場合もあれば、重篤な記憶障害を持つ場合もあると報告されている。頭部外傷に対する積極的なリハビリテーションの有用性は広く認識されているが、心停止蘇生後の患者の身体的リハビリテーションの必要性についてはよくわかっていない。

9.レジストリ
 質の高いレジストリのデータを用いることで、異なるヘルスケアシステム同士を比較することが可能となる。リスク調整モデルを用いることでさらに信頼性が高まる。観察研究として用いる場合はバイアスが問題となるが、仮説生成やさらなる臨床研究につなげるという観点では重要である。いくつかの質の高いレジストリが知られており、ガイドライン変更や心停止に対する治療の効果を検討する意味でも有用である。

10.研究プログラム
 ガイドライン推奨の多くは質の低い証拠に基づいているため、質の高い研究が治療を改善するために必要である。しかし、心停止は極めて緊急度の高い病態であることに加えて、心停止に陥った患者は研究に同意できないため、臨床研究は極めて困難である。心停止患者の生存率は増えてきてはいるとはいえ依然として低率であり、有意差をもって治療の有用性を示すためには数千人の患者を集める必要がある。前向き研究を行うなら多施設・多国籍で行うことが必要だろう。

2015年4月26日日曜日

骨格筋酸素飽和度と外傷性出血性ショックの予後

Skeletal muscle oxygenation in severe trauma patients during haemorrhagic shockresuscitation.
Duret J, Pottecher J, Bouzat P, Brun J, Harrois A, Payen JF, Duranteau J.
Crit Care. 2015 Apr 6;19(1):141. PMID: 25882441


✔ 背景
 外傷性出血性ショックに伴い早期に組織酸素飽和度が低下すると予後が悪くなると考えられる。入院時の骨格筋酸素飽和度がその後の臓器障害を予測するかどうかを検討した。
✔ 方法
 ふたつのLevel 1外傷センターで54名の受傷6時間以内の外傷性出血性ショック患者を対象として調査が行われた。入院6時間毎72時間後の母指球酸素飽和度(StO2)と血管閉塞試験(VOT)によるその変化を計測した。72時間後のSOFAスコアが改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)で、これらのパラメータを比較した。
✔ 結果
 54名中34名のSOFAは改善し、20名は改善しなかった。両群間で外傷重症度に差はなかった。改善群はベースラインのStO2が高く、6時間時点におけるVOTに伴う酸素飽和度低下率が小さかった。これらのStO2の結果は、院内死亡と弱い相関があった。6時間時点でのVOT再灌流開腹時間は両群間で差が無かった。
✔ 結論
 SOFA改善群と非改善群とにおけるStO2の違いを示した。NIRSを指標とした外傷性出血性ショックの蘇生方法を検討すべきである。
骨格筋酸素飽和度の両群間の違い(文献より引用)
◎ 私見
 組織低酸素の徴候を示すと、同じような出血性ショックでも臓器障害が多いということらしい。骨格筋の血流と主要な臓器の血流は同じとは思えないので、”末梢循環が犠牲になるほど重症であれば臓器障害が起きやすい”ということを示しているに過ぎない気がするけど…。実際、両群間のベースラインデータを見てみると、SOFA非改善群ではすでに低体温やアシドーシス、凝固障害をきたしていて如何にも重症という感じだし。他のモニタと同様、これをどのように治療に結びつけるかが大事なのでしょう。

2015年4月23日木曜日

研修医の勤務形態と患者安全

Patient safety, resident well-being and continuity of care with different resident duty schedules in the intensive care unit: a randomized trial.
Parshuram CS, Amaral AC, Ferguson ND, Baker GR, Etchells EE, Flintoft V, Granton J, Lingard L, Kirpalani H, Mehta S, Moldofsky H, Scales DC, Stewart TE, Willan AR, Friedrich JO; Canadian Critical Care Trials Group.
CMAJ. 2015 Mar 17;187(5):321-9. PMID: 25667258


✔ 背景
 研修医の勤務時間を短くすることで患者安全と医師の健康を改善することができると言われている。しかし、治療継続性が阻害されることによる有害性が疲労を減らすことによる利益を上回る可能性もある。ICUにおける3種類の勤務形態と、患者安全、研修医の健康、治療継続性について検討した。
✔ 方法
 二つの大学病医院の2か月ごとにローテートしてくる研修医を無作為に夜間勤務24時間型、16時間型、12時間型の勤務体制に割り振った。
>24時間群
 8時に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。カナダのICUで多い勤務形態。
>16時間群
 16時30分に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。24時間群も16時間群も、夜勤明けは24時間の休暇とする
>12時間群
 20時30分に勤務開始し、翌8時30分に勤務終了する。夜勤は3~4回連続して行い、その後72時間の休暇が与えられる。
 総勤務時間は群間に差が無いようにしてある(それぞれ、59.4時間/週、53.2時間/週、52.4時間/週)患者安全に関するプライマリアウトカムは有害事象とした。研修医の健康に関するプライマリアウトカムは眠気(Stanford Sleepiness Scale)とした。セカンダリアウトカムは患者死亡、避けられる有害事象、研修医の身体症状、バーンアウトとした。治療継続性ならびにICUスタッフの研修医に対する評価も調査した。
✔ 結果
 47人の研修医について、971人の新入院、5894人・日の治療期間、関わった452人のスタッフを調査した。有害事象については勤務形態間(24時間、16時間、12時間)の差はなかった(81.3、76.3、78.2/1000人・日; p=0.7)。また、日中の研修医の眠気にも差が無かった。8件の避けられる有害事象のうち、7件は12時間群で認められたが有意な差はなかった。患者死亡率も群間有意差は無かった。研修医の身体的症状は24時間群で有意に多く、また重度であった(p=0.04)。しかし、バーンアウトは群間に差が無かった。ICUスタッフの評価によると、16時間勤務群で知識や臨床的決定能力が最も悪いと評価されていた。
✔ 結論
 今回の研究では短い勤務時間が利点があるということを証明できなかった。研修医の身体症状と患者安全に関わるセカンダリアウトカムとはトレードオフの関係にあり、勤務システムの変更を考える際には、この点に注意が必要である。

◎ 私見
 研修医の勤務を見直す機会があったので、ちょっと気になっていた論文。Dutyを短くすると研修医の身体症状は軽減されるが有害事象が増える傾向があった。指導医の勤務形態がどうかとか、人数はどれくらいかとかの方が重要な気もするけど。研修医をとるか、患者をとるか…

2015年4月21日火曜日

ECMO施行数が多い施設ほど死亡率が低下する

Association of Hospital-Level Volume of Extracorporeal Membrane Oxygenation Cases and Mortality. Analysis of the Extracorporeal Life Support Organization Registry.
Barbaro RP1, Odetola FO, Kidwell KM, Paden ML, Bartlett RH, Davis MM, Annich GM.

Am J Respir Crit Care Med. 2015 Apr 15;191(8):894-901.

✔ 背景
 年間ECMO症例が多いほど死亡率が低下するのかどうかを検討した
✔ 方法
 ECMOレジストリを用いた過去25年間の後向き研究。患者は新生児(生後0~28日)、小児(28日~18歳)、成人(18歳以上)の三群に分けて検討した。各年齢群とECMO施行頻度で層別化し、死亡率との関係を検討した。アウトカムは在院死亡率とした。
✔ 結果
 1989年から2013年までに290の施設から56,222人の患者登録があった。死亡率には施設間格差が大きかった。通年で検討すると、成人では年間ECMO施行症例が多いほど在院死亡率が低い傾向があることが分かった。2008年から2013年(成人のECMOが増加した期間)で検討しても、ECMO施行症例が多いほど在院死亡率が低い傾向があった(年間1~5症例の施設に比較すると、30症例以上の施設のオッズ比は0.61)。ECMO施行症例数と死亡率の関係はCardiac ECMOでみられる傾向であり、VV-ECMO、Respiratory ECMOではこのような関係は認められなかった。近年では小児や新生児では施行症例数と死亡率の関係は認められなくなっていた。
✔ 結論
 新生児と成人では年間ECMO施行症例数が多いほど死亡率が低い傾向があるが、近年では成人にのみこのような傾向が認められる。
 ECMO施行施設を拡充するにあたっては施行症例数が多い施設でうけられる恩恵と、遠距離搬送に伴うリスクを勘案しなくてはならない。現在のECMOセンターが需要に見合う活動ができているのなら、本研究の結果を鑑み、あたらしいECMOセンターを増やすのではなく従来のECMOセンターでの治療を行うべきであろう。
文献より引用
◎ 私見
 結果は予想通りで特に目新しいことはない。経験が多いから成績が良いのか、成績が良いから症例が集まるのか、を考えることにはおそらく意味がない。なぜ、その施設では成績が良くなるのかを考えてみないといけない。目立たないけど基本的な診療を丁寧に行えて、スタッフが同じベクトルの熱意をもっていなければ成績は向上しないと思う。すくなくとも、「とりあえず、やってみよう」というものではない。その前にまず、自分たちが地に足のついた医療が提供できているかどうかを自問するところから始めるべきだと思う。

2015年4月19日日曜日

持続脳波モニタによる敗血症患者の評価


Acute brain failure in severe sepsis: a prospective study in the medical intensive care unit utilizing continuous EEG monitoring.
Gilmore EJ, Gaspard N, Choi HA, Cohen E, Burkart KM, Chong DH, Claassen J, Hirsch LJ.
Intensive Care Med. 2015 Apr;41(4):686-94. PMID: 25763756


✔ 背景
 重症患者の70%にせん妄や昏睡などの急性脳機能不全が認められる。脳波で検出された非痙攣性てんかん(NCS)や周期性放電(PD)は予後不良と関連しているとされる。敗血症はNCSやPDの危険因子のひとつで、非痙攣性てんかん重積(NCSE)の危険因子でもある。重症敗血症患者で認められる持続脳波モニタ(cEEG)の異常所見の頻度と危険因子、予後への影響を調査した。
✔ 方法
 単施設前向き観察研究。重症敗血症ならびに敗血症性ショックで脳症評価として少なくとも12時間のcEEGモニタを行った患者を対象とした(この施設ではcEEGは標準的なモニタとして積極的に使用されている)。
 cEEGは国際10-20法に基づき21個の電極を用いて記録した。痙攣性てんかん(CSzs)、痙攣性てんかん重積(CSE)、NCS、NCSE、PD(全般性PD(GPD)、限局性PD(LPD)、両側独立性PD(BIPD)、三相波を伴うGPDの有無を検討した。痙攣性・非痙攣性の定義は以前の報告に従って行い、PDはACNS Terminology for Critical Care EEGを基に定義した。なお、2.5Hz以上のPDや抗けいれん薬投与後に改善する2.5Hz以下のPDはNCSEとして扱った。1~2.5HzのPDで抗けいれん薬投与後に改善傾向にはなるものの明らかとは言えないものはNCSEの可能性ありとした。脳波反応性は、標準的な体外刺激法(名前を呼ぶ→名前を叫ぶ→軽く揺さぶる→鼻梁をくすぐる)によってバックグランド脳波の周波数や振幅が変化するかどうかで判定した。EMGの出現は脳波反応性ありとはしなかった。
✔ 結果
 98人、100回の入室が対象となった。50%が女性で年齢の中央値は60歳であった。APCHEⅡの中央値は23.5で、SOFAの中央値は8であった。25例にPDを認め、そのうち11例はNCSも認めた。PDを伴わないNCSはみられなかった。もともと神経学的疾患を既往に持つ場合にPDやNCSが多く認められた(45% vs 17%)。一方、APACHEⅡ、SOFA、循環不全の程度、鎮静薬はPD・NCSの低リスク因子であった。脳波反応性が認められないと1年死亡率が高い傾向にあったが、PDやNCSは死亡率とは関連が無かった。機能的予後、認知機能、遅発性痙攣/てんかんの予測因子は見つからなかった。
✔ 結論
 敗血症で意識障害のある患者ではNCSやPDは頻繁に認められる。これらの所見は本研究においては予後と関連が無かった。1年後の死亡率と関連していたのは脳波反応性であった。
カプランマイヤー曲線(文献より引用)

◎ 私見
 脳機能不全は興味のあるところなのだけど、脳波の意義がまだまだよくわからない。反応性の有無は役に立ちそうだけど…。簡易脳波モニタでは意味が無いのかとか、BISだとどうかとか考えてしまう。

2015年4月17日金曜日

ICUにおける消化管出血の疫学研究

Prevalence and outcome of gastrointestinal bleeding and use of acid suppressants in acutely ill adult intensive care patients
Mette Krag, et al.

Intensive Care Medicine Online First - April , 2015 Pages 1 - 13

背景
 重症患者の消化管出血の頻度、危険因子、予後に対する影響、制酸剤の効果について検討した。
✔ 方法
 前向きコホート研究。プライマリアウトカムを臨床的に有意な消化管出血とし、ベースラインの情報や90日死亡率との関連を検討した。
 11カ国97施設に7日間のうちに入室した18歳以上の患者を対象とした。消化管出血のために入院した患者や再入室の患者は除外した。消化管出血は下記のように定義した。
・Overt GI bleeding(顕性消化管出血)
 吐血、コーヒー残さ様嘔吐、下血、血便、経鼻胃管からの血性排液のうちいずれか。
・Clinically important GI bleeding(臨床的消化管出血)
 顕性出血後24時間以内に血圧低下(20mmHg以上)、昇圧剤開始/増量(20%以上)、Hb低下(2g/dL以上)、輸血(2単位以上)のいずれかを認めた場合。ただし、消化管出血以外の原因を除外すること。
✔ 結果
 1034人が対象となった。顕性消化管出血は4.7%、臨床的消化管出血は2.6%に認めた。臨床的消化管出血の独立した危険因子は、3つ以上の共存疾患(OR 8.9)、肝疾患併存(OR 7.6)、RRT(OR 6.9)、凝固障害併存(OR 5.2)、急性凝固機能障害(OR 4.2)、制酸薬使用(OR 3.6)、臓器不全スコア高値(OR 1.4)であった。制酸剤は73%の患者で使用されており、その多くはPPIであった。臨床的消化管出血の90日死亡への影響は粗オッズ比 3.7、調整オッズ比 1.7(0.7~4.3)であった。
✔ 結論
 臨床的消化管出血はまれだが制酸剤は多く使用されていた。共存疾患、肝不全、凝固障害、臓器不全が主な危険因子であった。調整オッズ比でみると臨床的消化管出血は90日死亡率と有意な関係はなかった。粗オッズ比では有意に関連があるが、これは主に共存疾患や臓器不全、年齢による影響であると考えられた。
文献より引用
◎ 私見
 過去に報告された他の消化管出血の危険因子には48時間以上の人工呼吸などがある。この手の研究は対象とする患者群の違いによって危険因子がかなり変わるので、解釈には注意が必要。ストレス潰瘍予防、もう一度適応を整理し直しておかないと。