2015年2月13日金曜日

バソプレシン追加は敗血症性ショックの臓器障害を軽減する

Low-dose vasopressin in addition to noradrenaline may lead to faster resolution of organ failure in patients with severe sepsis/septic shock.
Bihari D, Prakash S, Bersten A.
Anaesth Intensive Care. 2014 Sep;42(5):671-4. PMID: 25233186


✔ 背景
 バソプレシンは敗血症性ショックに用いても死亡率を低下させないが、ノルアドレナリンの必要量を減らし、尿量を増やし、クレアチニンクリアランスを改善させる。一方で、肝機能障害、血小板減少、四肢末端の虚血が問題となる。
✔ 方法
 重症敗血症/敗血症性ショックに対するボーラス輸液の効果を見た研究(Price study)のデータを用いて、最初の24時間においてノルアドレナリンのみを投与された患者30名とバゾプレシンを併用した患者20名で、SOFAスコアの推移を比較した。
✔ 結果
 両群間でベースラインには大きな差はなかった。バソプレシンは治療開始より4~14時間後に1~1.5単位/時で開始されていた。48時間後と72時間後のSOFAスコアはバソプレシン併用群で有意に低下していた。バソプレシン投与による合併症増加は無かった。
✔ 結論
 早期(24時間以内)にバソプレシンを併用することで臓器障害を軽減できる可能性がある。

SOFAスコアの推移(文献より引用)

◎ 私見
 Journal of Critical Careに掲載されたCorrespondence。バソプレシン追加は血行動態を改善して臓器障害を軽減しているのかもしれない。では、なぜ死亡率を変えないのかが分からないままである。さて、論文としての出来栄えとか内容とかより、掲載された図に注目した。各個のSOFAの推移をすべて明示してあるこの図。ある先生が「個々のデータを無視して平均や偏差だけで示しただけのデータは信用できない」と言っていたのを思い出した。大規模スタディなどでは塗りつぶされてしまう患者個々の変化に思いを馳せることができるこの図は、結構好き。

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