2020年5月13日水曜日

脳損傷患者に「GHOST-CAP」

Use a “GHOST-CAP” in acute brain injury
Fabio Silvio Taccone, Airton Leonardo De Oliveira Manoel, Chiara Robba & Jean-Louis Vincent
Critical Care volume 24, Article number: 89 (2020)

FAST-HUG(feeding, analgesia, sedation, thromboembolic prevention, head-fo-bed elevation, ulcer prophylaxis, glucose control)と同じように急性脳損傷患者(外傷、脳浮腫、脳虚血、てんかんなど)における二次損傷予防のacronymとして”GHOST-CAP”を提唱する。

G:Glucose
低血糖(≦80)も高血糖(≥180)も予後を悪化させるので避ける。
H:Hemoglobin
酸素供給量を決定する因子の一つとして重要である。7~9 g/dLを閾値として輸血することを考える
O:Oxygen
酸素供給量を決定する因子の一つとして重要だが、高濃度酸素も予後を悪化させることに注意が必要である。酸素飽和度94~97%を目標にする
S:Sodium
高浸透圧製剤、尿崩症、SIADH、塩類喪失症候群、AKIなどでナトリウム濃度が大きく変動して脳容量に影響する。低ナトリウム血症(<135)は予後を悪化させるので補正する。高ナトリウム血症は頭蓋内圧を減少させるための治療の結果として生じることがあり、その場合は155mEq/L程度までは許容する
T:Temperature
高体温は急性脳損傷に伴う全身性炎症反応によって生じることがあり、必ずしも感染が原因ではない。予後悪化の原因となるため38℃以上の高体温は避ける
C:Comfort(Control of pain, agitation, anxiety and shivering)
頭蓋内圧が上昇する可能性があるため、患者を静穏かつ快適な状態にする。頭蓋内圧亢進、てんかん重積、重度シバリングを認める場合では深鎮静にする
A:Arterial blood pressure
脳血流を決定する重要な因子。軽度低血圧でも脳低灌流となることあり。平均血圧≥80、脳灌流圧≥60が合理的だろう。脳循環のモニタリング手法の確立が望まれる
P:PaCO2
PaCO2が1mmHg上昇すると脳血流量は4%増加して頭蓋内圧が上昇するため、高炭酸ガス血症は避ける。一方、35未満の過換気も避けるべきである