2015年4月26日日曜日

骨格筋酸素飽和度と外傷性出血性ショックの予後

Skeletal muscle oxygenation in severe trauma patients during haemorrhagic shockresuscitation.
Duret J, Pottecher J, Bouzat P, Brun J, Harrois A, Payen JF, Duranteau J.
Crit Care. 2015 Apr 6;19(1):141. PMID: 25882441


✔ 背景
 外傷性出血性ショックに伴い早期に組織酸素飽和度が低下すると予後が悪くなると考えられる。入院時の骨格筋酸素飽和度がその後の臓器障害を予測するかどうかを検討した。
✔ 方法
 ふたつのLevel 1外傷センターで54名の受傷6時間以内の外傷性出血性ショック患者を対象として調査が行われた。入院6時間毎72時間後の母指球酸素飽和度(StO2)と血管閉塞試験(VOT)によるその変化を計測した。72時間後のSOFAスコアが改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)で、これらのパラメータを比較した。
✔ 結果
 54名中34名のSOFAは改善し、20名は改善しなかった。両群間で外傷重症度に差はなかった。改善群はベースラインのStO2が高く、6時間時点におけるVOTに伴う酸素飽和度低下率が小さかった。これらのStO2の結果は、院内死亡と弱い相関があった。6時間時点でのVOT再灌流開腹時間は両群間で差が無かった。
✔ 結論
 SOFA改善群と非改善群とにおけるStO2の違いを示した。NIRSを指標とした外傷性出血性ショックの蘇生方法を検討すべきである。
骨格筋酸素飽和度の両群間の違い(文献より引用)
◎ 私見
 組織低酸素の徴候を示すと、同じような出血性ショックでも臓器障害が多いということらしい。骨格筋の血流と主要な臓器の血流は同じとは思えないので、”末梢循環が犠牲になるほど重症であれば臓器障害が起きやすい”ということを示しているに過ぎない気がするけど…。実際、両群間のベースラインデータを見てみると、SOFA非改善群ではすでに低体温やアシドーシス、凝固障害をきたしていて如何にも重症という感じだし。他のモニタと同様、これをどのように治療に結びつけるかが大事なのでしょう。

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