2015年6月1日月曜日

動静脈炭酸ガス分圧較差が大きいと術後合併症が増える

Central venous-to arterial CO2 difference as a prognostic tool in high-risk surgical patients
Emmanuel Robin et al.
Crit Care (2015)


✔ 背景
 中心静脈血炭酸ガス分圧と動脈血炭酸ガス分圧の差(PCO2 gap)は循環動態の安定性を表す指標となる可能性がある。これについて、高リスク術後患者を対象に調査した。
✔ 方法
 単施設前向き観察研究。115人の術後患者が対象となった。Schoemakerらの報告を参考に高リスク手術を分類した。
✔ 結果
 78人の患者(68%)が術後合併症を起こした。内54人は臓器不全を起こしていた。術後合併症を起こした群では、PCO2 gapが高く(8.7mmHg vs 5.1mmHg)、乳酸値も高かった(1.54 vs 1.06)。炭酸ガス分圧較差はICU入室時に最大となっていた。ICU入室時の炭酸ガス分圧較差のが術後合併症を予測できるかどうかのROCは0.86であり、SOFA(0.82)、SAPSⅡ(0.67)、乳酸値(0.67)より優れていた。多変量解析によると、炭酸ガス分圧較差とSOFAスコアのみが術後の重篤な合併症を予測する独立した因子であった。炭酸ガス分圧較差≧6mmHgは、臓器不全、長期人工呼吸管理、在院期間延長と関与していた。
✔ 結論
 組織低灌流の結果として起きているものとするなら、炭酸ガス分圧較差は中心静脈血酸素飽和度より有用であると考えられる。
臓器不全合併の有無と炭酸ガス分圧較差の推移(文献より引用)
◎ 私見
 組織中の炭酸ガスは低灌流の結果起きると考えられており、その総和として中心静脈血中の炭酸ガス分圧を用いてみるとどうかという話題。リアルタイムで計測できるといいのだけど。

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