2015年6月16日火曜日

腹部コンパートメント症候群の危険因子

Risk factors for intra-abdominal hypertension and abdominal compartment syndrome among adult intensive care unit patients: a systematic review and meta-analysis
Holodinsky et al. Critical Care 2013, 17:R249


✔ 背景
 腹腔内高血圧(IAH)や腹部コンパートメント症候群(ACS)は重症患者の合併症や死亡と関連しているがその予防や治療が予後を改善するかどうかは分かっていない。今後、IAH/ACSの治療効果を判定する臨床研究を行うにあたり、リスクによって患者を層別化できるように、IAH/ACS発症の危険因子をメタアナリシスで検討した
✔ 方法
 1950年から2013年まで、MEDLINE、EMBASE、PubMed、Cochrane Databaseに発表されたIAHやACSの危険因子に関する観察研究を対象とし、ランダム効果モデルとNarrative synthesisの手法を用いて解析した。
✔ 結果
 1,224の研究から14研究・2,500名の患者が抽出された。これまでに知られているIAHに関する38の危険因子とACSに関する24の危険因子を3つのテーマと8つのサブテーマに分類した。大量の晶質液輸液、呼吸状態、ショックは多くの患者に共通して認められる因子であった。Mixed ICUにおけるIAHの危険因子としては肥満(OR 5.1)、敗血症(OR 2.38)、腹部手術(OR 1.93)、イレウス(OR 2.05)、大量輸液(OR 2.17)が挙げられた。外傷患者や術後患者においては、大量輸液やショック、代謝障害や臓器不全が危険因子であった。急性膵炎では重症度、クレアチニンがACSの危険因子であった。
✔ 結論
 いくつかの危険因子は全患者群で共通して認められるものであったが、特定の患者群に特異的な危険因子も存在した。今回の研究で明らかとなった危険因子はあくまで候補であると考え、今後の多施設前向き観察研究で確認すべきである。

◎ 私見
 特に目新しい危険因子があるわけではないが、こうやってメタアナリシスで示されるとそれなりの説得力があると思った。危険な患者群を認識するだけでは意味が無くて、その後になにをするのかが大事。

0 件のコメント:

コメントを投稿