2015年8月26日水曜日

VAEの疫学

Ventilator-Associated Events: Prevalence, Outcome, and Relationship With Ventilator-Associated Pneumonia.
Bouadma L, Sonneville R, Garrouste-Orgeas M, Darmon M, Souweine B, Voiriot G, Kallel H, Schwebel C, Goldgran-Toledano D, Dumenil AS, Argaud L, Ruckly S, Jamali S, Planquette B, Adrie C, Lucet JC, Azoulay E, Timsit JF; OUTCOMEREA Study Group.
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):1798-806. PMID: 25978340


✔ 背景
 CDCは人工呼吸患者のサーベイランスのためにVentilator associated conditions(VAC)とInfection-related ventilatro associated complications(IVAC)からなるVentilator associated events(VAE)を提唱した。VAEの疫学とVAPとの関係、抗菌薬消費量や人工呼吸管理機関への影響を調査した。
✔ 方法
 フランス多施設前向きデータベース(OUTCOMEREA)を使用。5日以上連続して人工呼吸管理を受けた患者を対象として、CDCの提唱する定義に若干の修正を加えてVAEを抽出した。
VACとIVAC(文献より引用)
✔ 結果
 3,028人の患者のうち、2,331人(77%)に少なくとも1回のVACが認められ、869人(29%)にIVACを認めた。原因が多岐にわたるもの、原因不明のものも多く認められたが、最も多いVACとIVACの原因は院内感染(それぞれ27.3%、43.8%)であり、VAPはそれぞれ14.5%、27.6%に認めた。VACのVAP診断の感度は92%、特異度は28%であった。IVACのVAP診断の感度は67%、特異度は75%であった。VACやIVACとVAP発生には良い相関が認められた。28日目における抗菌薬と人工呼吸管理を要しなかった日数を比較したところ、何らかのVAEが認められなかった患者ではこの日数が有意に長くなっていた。VACとIVACは抗菌薬消費量と有意に相関していた。
✔ 結論
 VAEはリスクのある患者群で比較的多く認められており、抗菌薬消費量増大と関係しており、質改善プログラムにおける有用なサロゲートマーカとなり得る。

◎ 私見
 対象としているのが「5日以上人工呼吸管理を行っている」患者なので、もともとかなりリスクの高い患者であることは注意しなくてはならない。当施設でもVAEサーベイランスが始まっているが、まだ臨床に還元されていない。調査して還元するって集中治療医の存在意義のひとつではないかとも思う。

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