2015年10月9日金曜日

排便コントロールは重症患者の予後を改善する

Daily laxative therapy reduces organ dysfunction in mechanically ventilated patients: a phase II randomized controlled trial.
de Azevedo RP, Freitas FG, Ferreira EM, Pontes de Azevedo LC, Machado FR.
Crit Care. 2015 Sep 16;19:329. PMID: 26373705


✔ 背景
 ICUで便秘はよくみられる。不動化、脱水、鎮痛鎮静、昇圧剤の使用が要因となり得る。便秘は腸管不全の一症状で、独立した予後規定因子のひとつであると考えられている。毎日の排便を促すための下剤の使用が臓器不全を減らすかどうかを検証した。
✔ 方法
 前向き無作為化非盲検のPhaseⅡ臨床研究。3日以上人工呼吸管理を受けると予想される患者を対象に、毎日の排便を促す群と対照群とに無作為に振り分けた。介入群はラクツロースと浣腸を行って毎日1~2回の排便がみられるようにした。具体的には、ラクツロース 20ml/8hrsを排便がコンスタントに認められるようになるまで継続し、下痢を起こしたらラクツロースは中止した。対照群では便秘は5日まで許容する。直腸診と下剤は適宜使用した。プライマリアウトカムはSOFAスコアの変化とした。
✔ 結果
 88人の患者が対象となった。介入群は一日当たりの排便回数が有意に多くなり(1.7 vs 0.7)、入室期間に対する排便のない日の割合が減った(33.1% vs 62.3%)。介入群では対照群に比較してSOFAスコア減少が大きかったが(-4.0 vs -1.0)、死亡率や生存期間には差が無かった。介入群では下痢を含む合併症が多かったが、重篤な合併症には差が無かった。
✔ 結論
 人工呼吸管理患者の排便を促すと、臓器不全をより改善することができる可能性がある。
生存率に差があるように見えるが有意差無し(文献より引用)
◎ 私見
 排便コントロールは見過ごされがちな問題のひとつ。便秘も下痢もよくないので、適切なところを狙って頑張るのだが、なかなかうまくいかない。この研究では便秘に対して積極的に介入することで予後を改善する可能性を示しているところが興味深い。

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