2020年1月4日土曜日

輸液反応性を心拍出量以外の指標で予測できるか?

How to detect a positive response to a fluid bolus when cardiac output is not measured?
Ait-Hamou Z, Teboul JL, Anguel N, Monnet X.
Ann Intensive Care. 2019 Dec 16;9(1):138. PMID: 31845003

輸液反応性を心拍出量以外で予測できるかどうかを検討した後ろ向き研究。対象となったのは敗血症の症例が7割を占める491名。生理食塩水500mlをボーラス投与し、経肺熱希釈法で心拍出量が15%以上増加したものを輸液反応性ありとしたとき、心拍数や血圧でこれを予測できるかどうかを検討した。心拍数はほとんど役に立たず(AUROC≒0.5)。収縮期血圧、平均血圧、脈圧、脈圧変動、ショックインデックスのうち最も有用だったものは脈圧であった(AUROC=0.719、閾値 10%、感度72%、特異度64%)。輸液反応性を正確に知りたければ心拍出量を計測すべきである。

◎私見
タイトルをみて少し期待したが、結果は予想通り輸液反応性を血圧で知るのは難しいということが改めて明らかになったもの。心拍出量を計測するしかないということ。
対象患者には注意が必要。低血圧をトリガーにして輸液負荷をしたのは2割で、頻脈や乏尿をトリガーにしたものがそれぞれ4割近くいる。また、人工呼吸管理を行っていたのは67%であり、明確に記載されていないが多くの患者は自発呼吸が残っていたと思われるので、自発呼吸が全くない状態では少し結果が変わった可能性はあるだろう。この研究は後ろ向きだが、筆者らはCVPを計測してあったら補正できてよかったかもと言っているので、今後そのような前向き研究が計画されているのかもしれない。
それにしても、対象患者のノルアドレナリン投与量の中央値が0.7μg/kg/minって書いてあるんだけど本当か?

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