2020年2月12日水曜日

PIICSを判定するCRP値は?

C‑reactive protein clustering to clarify persistent inflammation, immunosuppression and catabolism syndrome
K Nakamura, K Ogura, H Nakano, et al
Intensive Care Med 2020

ICU患者は、ときに炎症が遷延し在院日数が伸びることがある(Persistent inflammatory, immunosuppressed, catabolic syndrome; PIICS)。PIICSを診断するためのCRPのカットオフを検討した。
5513人の入室患者から14日以上入院した539人を解析対象として抽出。14日目のCRPを解析して7つのクラスタに分類した。PIICSと判定するCRPのカットオフは3.0mg/dlであった。PIICSクラスタは退院時のBarthel index、アルブミン値、14日目のリンパ球数が有意に低かった。入院時のCK、アンチトロンビン活性、トロンボモジュリンはPIICSの独立したリスク因子であった。

*PIICS
慢性重症疾患Chronic critical illness(CCI)が知られているが、そのなかには遷延する炎症、持続する臓器不全、免疫抑制と異化に特徴づけられるPIICSが含まれていることが分かってきた。以下のような基準が低用されているが、これらはエビデンスに基づいた閾値ではない
14日以上の入院、CRP>0.15mg/dl、リンパ球数<800/㎜3、入院中の10%を超える体重減少もしくはBMI18未満への減少、アルブミン<10mg/dl、Retinol結合蛋白<10μg/dl

◎私見
PIICSについて少し調べていたところに発表された日本発の研究。
「なかなかすっきりよくならない」とあいまいに見られていた患者に名前がつくことで治療方法などが検証されやすくなる。”名づける”(≒定義づける)ことが観察研究の意義のひとつなのだと思う。

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