2015年2月6日金曜日

肺エコーによる肺血管外水分量予測スコア

Simplified lung ultrasound protocol shows excellent prediction of extravascular lung water in ventilated intensive care patients
Philipp Enghard, Sibylle Rademacher, Jens Nee, Dietrich Hasper, Ulrike Engert, Achim Jörres and Jan M Kruse
Critical Care. 2015 19:36


✔ 背景
 肺エコーでBラインを定量することで肺血管外水分量を推定できると言われている。本研究では肺エコーを用いた簡易プロトコルによるスコア化で肺水分量を推定できるかを検証した。
✔ 方法
 集中治療室で人工呼吸管理を受けている15人の患者を対象とした。全例でPiCCOを用いた経肺熱希釈法による肺血管外水分量係数(EVLWI)と肺エコーの結果を比較した。肺エコーは前胸部の左右2カ所ずつ(計4カ所)のBライン所見をスコア化して合計した。肺エコーはお互いの評価結果を知らされないようにした2名の集中治療医によって行われた。さらに、Numerical rating scoreでスコア化した胸部X線写真所見やCVPと肺血管外水分量EVLWIとの相関も調べた。
✔ 結果
 肺エコースコアは経肺熱希釈法によって計測されたEVLWIと有意な相関関係(r=0.91, p<0.0001)を認めた。肺エコースコアの閾値を1.5とすると、EVLWI正常上限を超える状態(>7ml/kg)を感度92.1%、特異度91.7%で診断できた。閾値を18.5とすると、EVLWI>15ml/kgである状態を感度92.3%、特異度94.6%で診断できた。一方で、CVPや胸部X線写真所見はEVLWIと相関関係が無かった。
✔ 結論
 前胸部4カ所の肺エコースコアはEVLWIと相関する。一方でEVLWIを推定するのにCVPや胸部X線写真所見はあまり役に立たない。

◎ 私見
 50例の研究であるとか、肺血管外水分量の測定がどの程度の臨床的有用性があるのかといった議論は置いておいて。侵襲的な検査に頼らずともプロ―べを4カ所胸にあてるだけで肺の水分過剰を調べることができるのは有用だと感じる。面白かったのは、CVPはさもありなんと思うが、胸部X線写真所見も少なくともEVLWIとは関係が無いということ。
 あとは、この肺エコースコアを指標にした治療が患者さんを救えるかどうかの検証が必要。というより、こちらのほうが大事。

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