2015年2月7日土曜日

VA-ECMOからの離脱方法

Aissaoui N, El-Banayosy A, Combes A.
Intensive Care Med. 2015 Jan 27. PMID:25619488


✔ はじめに
 VA-ECMOは内因性疾患や開心術後、心停止後の難治性心原性ショックの救命に用いられることがある。VA-ECMOからの離脱は「回路除去後に30日間機械的補助を要さないこと」と定義される。
✔ VA-ECMOの予後
 ショックの原因や合併症、臓器不全の重篤度によって差があるが、生存率は31~76%といわれている。心停止、腎不全・肝不全、女性であることはICU死亡の危険因子である。一方、心筋炎は予後良好であることが多い。他の研究では、高齢、再灌流療法が成功しなかった心筋梗塞、腎不全、意識障害、高乳酸血症が独立した危険因子であると報告されている。
 51人を対象とした研究で、収縮期血圧や脈圧、エコーで計測された大動脈のVelocity-time integral (VTI)、左室Ejection fraction(LVEF)、組織ドプラで計測した外側僧帽弁輪Peak systolic velocity(TDSa)が離脱成功を予測する因子であると報告されている。123人の開心術後の患者を対象とした研究では、初期乳酸値とそのクリアランスが離脱成功を予測する因子であるとしている。一方、NT-proBNP、Troponin Ic、Proatrial natriuretic peptide、Proadrenomedullin、Copeptinは予後を予測できなかった。
 VA-ECMO離脱後の多くの患者が病院内で死亡している事を考えると、回路を外してから30日間機械的な補助を要さないことを離脱成功と定義することは妥当である。
✔ いつ離脱を開始するか
 まず、心不全の原因が可逆的であるかどうかの判断が必要である。次に、触知可能な動脈圧が少なくとも24時間は維持され、平均血圧は60 mmHg以上である必要がある。最後に、肺機能障害が重篤ではない必要がある。ECMOの新鮮ガスのFiO2を21%にした時のP/F比が100未満である場合は、VV-ECMOへ変更すべきかもしれない。
 一般的に、72時間以内に離脱できることはまれであるが、薬物中毒やカテコラミン心筋症の場合は早期に離脱できるかもしれない。
✔ どのように離脱するか
 ECMO離脱試験は、送血流量を減らして右室前負荷を増加させ、左室後負荷を減少させた際に心機能の回復がどの程度であるかを評価することで行われる。脈圧の回復した51名の患者でこの方法を検証した。まず、送血流量を徐々に66~33%に減らし、最小1~1.5 L/minとする。もし平均血圧が持続的に60 mmHgを下回った場合は送血流量を元に戻した。38人がこの試験に耐え、20人が離脱できた。離脱できた患者では送血流量を最小にした時のVTI > 6 cm、LVEF > 20-25%、TDSa > 6 cm/secであった。特にTDSaは左室負荷とは独立した心機能の評価指標であり、有用である。
 Cavarocchiらは21人の患者でFour-stage strategyを検証した。ベースライン(Stage 1)、送血流量半減(Stage 2)、最小流量と輸液負荷試験(Stage 3)、昇圧剤負荷試験(Stage 4)を心拍数、血圧、TEEによる両心室機能評価の持続モニタ下に行った。輸液負荷試験に両心室機能が耐えることができ、昇圧剤に良好に反応した場合にECMOから離脱した。心室拡大があったり血圧が低下した場合はベースラインに戻した。興味深いアプローチだが、TEEに伴い鎮静を要することや主観的な心室機能評価がプロトコルに含まれているという問題がある。
 また、最近のケースシリーズでLevosimendanによる前処置が昇圧剤必要量を減らしたとの報告がある。

◎ 私見
 最近、ECMO症例が増えたので、この短いレビューを読んでみた。早期離脱可能な原因として低体温に起因する心停止を付け加えたい。ここでもエコーが有用とのこと。勉強し直さないと。

0 件のコメント:

コメントを投稿