2015年3月2日月曜日

”年度初めに病院に行くと痛い目にあう”は本当か

Is an urban legend true in the teaching hospital that ‘‘you will get hurt if you go to hospital at the beginning of the fiscal year’’?
S. Inoue, R. Abe, Y. Tanaka, M. Kawaguchi

J Anesth (2015) 29:122–125

✔ 背景
 新人が多いため”年度初めに病院に行くと痛い目にあう”と都市伝説的に語られるが、これが本当かどうか確かめた。
✔ 方法
 末梢静脈ライン確保の失敗は患者の不快感に直接関係があると考えられる。ライン確保失敗をカテーテル消費量として算出することにした。手術室管理システムから末梢静脈カテーテルの消費量を調査し、研修医の数と関係があるのかどうか、また、患者満足度と関係があるのかどうかを調べた。
✔ 結果
 カテーテル消費量は年度初めに多くなるわけではなかった。しかし、研修医の数が多いほどカテーテル消費量が有意に多くなる傾向があった。また、有意ではないものの研修医の数が多いほど患者満足度が低下する傾向があった。
✔ 結論
 ”年度初めに病院に行くと痛い目にあう”は真実では無かったが、教育病院では患者が不利益を被る可能性について考えなくてはならない。

研修医が増えるとカテーテル消費量も増える(文献より引用)

◎ 私見
 教育病院に勤める身として、とても考えさせられる内容。患者さんは何を期待してこの病院に来ているのかを見失わないようにしないと、教育の名のもとに医療の本質が損なわれてしまう気がする。といって、教育をしないわけにはいかないわけで。そばでみている指導医がリスクヘッジをする必要があるのでしょう。それができてこそ良い指導者ということでしょうか。

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